平成14年度問題25への解答・解説
この頁は、平成16年6月16日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月4日に一部更新しました。
このページでは、平成14年度問題25への解答・解説・問題の評価を行う。
1) 正解 e
2) 解説
- a. は、通常の偏回帰係数では基準変数及び各説明変数の標準偏差の違いが考慮されていないので、偏相関係数の大きさを説明変数間では直接比較できないことから、正しい。これを可能にするには、得られた偏相関係数を基準変数及び各説明変数の標準偏差でもって調整した標準偏回帰係数(standard partial regression coefficients) を用いる必要がある。
- b. は、正しい。その理由は、一般に重回帰分析のモデルである重回帰方程式の性質から、サンプル数に比べて説明変数ないしは予測変数数を相対的に大きくしてしまう(最大で、予測変数数はサンプル数マイナス1)と、モデルによる基準変数の説明力は見かけ上100パーセントに近づいてしまうからである。
- c. は、正しい。ただし、交差妥当性まで検討する場合は少ない。交差妥当性については、例えば千野のホームページの中の 交差妥当化・階層的重回帰分析を見よ。
- d. は、完全に正しいとは言えないと思われる。なぜならば、もし予測変数間の相関がすべてゼロであると、複数の予測変数の重みつき合計点による基準変数の説明力と、単一の予測変数による基準変数の説明力の(予測変数すべての)合計は一致するので、重回帰分析すなわち多変量間の関連を多変量的に扱う意味がなくなってしまうからである。しかし、問題25ではつぎの e は明らかに間違いであるので、これはここでは一応正しい、とせざるを得ない。
- e. は、既に b で述べた理由から間違いである。
これらの結果から、正解は e である。
3) 問題25の評価
問題25は、かなり専門的な内容を含む問題であり、難しいといえよう。また、上で
述べたように、d のような微妙なわかりにくい項目もあり、その点では必ずしもベストの問題とは言えない。
参考文献
- Cohen, J., and Cohen, P. (1975). Applied Multiple Regression/Correlation
Analysis for the Behavioral Sciences. Wiley.