この頁は、平成16年9月24日に新たに開設しました。
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このページでは、平成15年度問題18への解答・解説・問題の評価を行う。
この問題は、心理学における検査(テスト)の妥当性 (validity) に関するもので ある。心理検査の妥当性とは、一般に検査が測定しようとする内容をどれほど測定出 来ているかをいう。一般に、検査の妥当性には以下のようないろいろなものがある:
多くの場合、心理検査が測定しようとする内容(例えば、知能や向性など)は 仮説的構成概念 (hypothetical construct) であり、抽象的な仮のものである。 そのような概念を、当該心理検査が実際どの程度測定しているかを、構成概念妥当 性と呼ぶ。従来は、構成概念妥当性は、行動レベルで定義された何らかの外的基準 との相関係数で評価したり、当該構成概念から理論的に予想される条件間での検査 得点の差の検討などにより評価されてきた。
構成概念妥当性の検討に際して、当該構成概念に関して妥当性の高い検査や基準 となる測定が既に存在するときに、それらを含めた変数間の相関行列より因子分析 を行い、当該構成概念を表す因子上での因子付加量を計算し、それを当該検査の構成 概念妥当性係数とすることもある。このような場合における妥当性は、因子的 妥当性と呼ばれる。
検査の内容が、その検査により測定しようとしている範囲をどの程度代表してい るかをいう。内容妥当性の検討によく用いられるやり方は、その検査についての 複数の専門家に下位項目の測定範囲に関する判断をさせ、判断の一致度を検討する 方法である。
検査得点が、それとは独立な他の基準変数 (criterion variable) とどの程度 関連しているかをいう。
基準関連妥当性のうち、検査得点を他の基準変数の値を予測するために用いる 場合を、予測的妥当性という。
基準関連妥当性のうち、検査得点と他の基準変数が時間的に同時に得られている 場合を、併存的妥当性という。
上記の各種妥当性定義からは、問18の A から D の記述のうち、正しいものは A と B だけであることは明らかであり、したがって、a が正解ということになる。