この頁は、平成14年9月16日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月2日に一部更新しました。
このページでは、平成7年度問題28への解答・解説・問題の評価を行う。
この種の問題では一般的に言って、受験者が確信の持てる選択肢への正誤の 情報から解答を絞るのがよい。実は、もし受験者が記述 A と D は正しいことに 確信をもっていれば、そのような選択肢は a しかなく、これで正解となる。 ただし、ここでは、以下のように問題を順に見ていくことにする。
問題28は、知能・学力・性格検査に関わる統計的な知識を問うものであり、 常識的な問題の範囲と言えよう。
強いて記述 A に関連した興味深い話をあげれば、印東 (1970) によれば、 「もっとも、非常にやかましくいえば、完全にこの形にしたがって分布する母 集団はなかなかないらしく、自然界にそういう事例を発見することに対し、アメリカ で賞金がかけられたが、今日まで受賞した者はいないという話しである」。
また、周知のように、正規分布は数学者ガウス (Gauss, C. F.) が19世紀の 初等に誤差分布として提案したもので、現在でも数理統計学の大方の理論は正規 分布の仮定にもとづいているが、これを提案した当のガウス自身が提案してから それ程経たないうちに、線形モデルの最小二乗法によるパラメータの推定に際し て、この正規分布の仮定をはずしてしまったこと (McCullagh & Nelder, 1983, p.9)、さらには彼のこの発想が最近では一般化線形モデル (generalized linear model) として、大きく発展しつつあることは大変興味深い。