検査の信頼性 (reliability)

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この頁は、平成14年10月3日に新たに開設しました。
この頁は、平成14年10月3日に一部更新しました。

 このページでは、検査の信頼性の解説を行う。

解説

 心理学では、しばしば各種の(心理)検査を行い、被験者の診断を行う。 心理検査の臨床的価値や位置づけと心理検査の統計的価値は、心理検査を 議論する場合の車の両輪と言えるであろう。ここでは、心理学の分野で開発 された心理検査の統計的理論のうち、検査の信頼性の入門レベルの解説を 池田 (1973) に準じて行う。検査の信頼性 (reliability) とは、一言で 言えば、同一被験者に対する繰り返し測定 (repeated measurement) の間 に見られる測定値の一貫性を指す

  1. 測定値、真値、及び測定誤差

     まず、被験者 i の時点 t での(ある検査尺度の)測 定値(検査得点) x_it を実現値とする確率変数を X_it、 真値(これは直接測定できない)を τ、 測定誤差 e_it を実現値とする確率変数を E_it と書くものとする。この時、

    (1)   X_it = τ + E_it.

     一方、実際の測定結果では、

    (2)   x_it = τ + e_it.

     すなわち、(ある検査尺度について、被験者 i のある時点 t での)測定値 x_it は、真の値 τ と測定誤差 e_it を混みにしたもの、と考えることができる。

    ここで、

    (3)   E(E_it)=0, V(E_it)=σ^2,

    とする。ここで、E(・) は当該確率変数の期待値(平均値)、V(・) は同分散を、 σ^2 はσ の二乗を、それぞれ表すものとする。また、ここでの期待値や分散は 時点 t =1, 2, ..., ∽(無限大)に対して取るものとする。
     しかし、実際には同一被験者に対して無限回の測定を行うことは不可能であるので、 つぎに、複数の被験者 N 人に対して同一検査尺度を1回もしくは複数回施し、測定 を行ったとする。この時、

    (4)   E(E_it)=0, V(E_it)=σ^2,

     この場合、期待値 E(・) や分散 V(・) は、時点に対してではなく、複数の被験者 に対して取るものとする。ここで、真値と測定誤差との共分散はゼロと仮定する。

     この時、

    (5)   V(X_t) = V(T) + V(E_t).

     以降、上記 V(X_t)、V(E_t) における添字 t は省略することとする。つまり、

    (6)   V(X) = V(T) + V(E).

  2. 信頼性指数と信頼性係数

     まず、時点 t における測定値 X の分散 V(X) に占める真値 T の分散 V(T) の 割合 ρ(X) は、信頼性係数 (coefficient of reliability) と呼ばれる:

    (7)   ρ(X) = V(T)/V(X).

     信頼性係数 ρ(X) は、0から1の値を取る。

     一方、時点 t における測定値と真の値との相関係数 ρ(X, T) は、 信頼性指数 (index of reliability) と呼ばれ、 これまた、0から1の値を取る。信頼性係数と信頼性指数との関係は、つぎのよ うになる::

    (8)   ρ(X, T) = √ρ(X)

    (9)   ρ(X, T) = V(T)/V(X).

引用文献

  1. 池田央 (1973). 心理学研究法8 - テスト II 東京大学出版会
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