3.1.2節 因子パターンと因子構造

  (3.1)式の添字 i を省略し、添字 j ごとに当式を書き下すと、

{ Z 1 = a 11 F 1 + a 12 F 2 + ... + a 1r F r + b 1 G 1 ,
(3.3)
Z m = a m1 F 1 + a m2 F 2 + ... + a mr F r + b m G m ,

のようになる。この一組の式は因子パターン(factor pattern)あるいは単に パターン(pattern)と呼ばれる。なお狭義には、(3.2)式の行列 A を、因子 パターンと呼ぶ。行列 A は、別名、因子行列(factor matrix)とも呼ばれ る。

  既に述べたように、因子分析モデルの解法は、因子相互が直交しているか否か で、直交解と斜交解に大別できるが、(3.1)あるいは(3.2)式の多因子模型は、そ の両方を含み、因子相互には、つぎの弱い制約のみを課すに過ぎない。

(i) (3.4)
(ii) (3.5)
(iii) (3.6)

  ここで、φj k は、第 j 因子と第 k 因子相互の相関係数を表わす。直交 解とは、すべての φj k がゼロの場合の模型の解である。

  因子分析では、因子相互の相関関係ばかりではなく、もとの変数(テストバッテ リー)と因子との相関関係の情報も、因子の解釈の時などに必要である。これは 一般に、因子構造(factor structure)あるいは単に、構造(structure)と呼ば れる。

  因子構造には2種類あり、1つはもとの変数と共通因子との相関 P であり、 狭義の因子構造と呼ばれる。他方は、もとの変数と独自因子との相関 D である。 (3.2)、(3.4)、(3.5)、(3.6)式から、

(3.7)

また、

(3.8)