3.2.4節 各種斜交回転の方法

 この節では、これまでに提案されてきている各種斜交回転の方法のうち、よく知られている幾つかの方法について、その基準のみ示す。詳細については、例えば Harman (1967)や引用文献を参照されたい。

 ここで、斜交回転前の因子パターンにおける第 j 行第 p 列の因子負荷量を cjp、斜交回転のための回転行列の第 k 行第 p 列を tkp とし、回転後の因子パターンにおける第 j 行第 p 列の因子負荷量を vjp とする。また、共通因子数は、r とする。このとき、

. (3.70a)

  1. オブリマックス法 (oblimax method)

     つぎの基準を最大化することにより得られるオブリマックス法による解は、オブリマックス解 (oblimax solution) と呼ばれ、Pinzka and Saunders (1954) が提案したものである:

    (3.70b)

  2. クオーティミン法 (quartimin method)

       つぎの基準を最大化することにより得られるクオーティミン法による解は、クオーティミン解 (quartimin solution) と呼ばれ、Carroll (1953) による:

    (3.70c)

  3. オブリミン法 (oblimin method)

     つぎの基準を最大化することにより得られるオブリミン法による解は、オブリミン解 (oblimin solution) と呼ばれ、Carroll (1960) による。オブリミンは、別名コバリミン (covarimin) とも呼ばれることがある:

    (3.70d)

     ただ、Kaiser と Carroll は実証的なデータを検討する中で、クオーティミン法ではあまりにも斜交的な、オブリミン(コバリミン)法ではあまりにも直交的な解になる傾向があることを見つけた。これを受けて、Carroll (1960) は上記2つの基準の折衷的な基準としてつぎの基準を提案した:

    (3.70e)

     この基準によれば、つぎのようになる:

    • クオーティミン解   γ=0  (α=1, β=0) の時  最も斜交的
    • バイクオーティミン解 γ= 0.5 (α=β)   の時  中間的
    • オブリミン解     γ= 1  (α=0, β=1) の時  最も非斜交的

    Carroll (1969) によれば、多くの場合バイクオーティミン解 (biquartimin solution) がうまくいくという。

  4. プロマックス法 (promax method)

     プロマックス法は、この章の冒頭で述べたように Hendrickson and White (1964) により提唱されたもので、何らかの方法により得られた直交解を斜交単純構造 (oblique simple structure) に回転する1つの単純な方法である。この方法では、まず直交解として得られた因子パターンの因子負荷量を cjp とすれば、これをつぎのように変換する:

    (3.70f)

     そして、もとの直交解を、変換後の因子パターンB={bjp}近くなるようにプロクラステス回転 (Procrustes rotation) する。これによる回転後の因子パターンがプロマックス解 (promax solution) である。ここで、上式での m は、ベキ乗を意味し、m>1 である。Hendrickson and White によれば、多くの場合 m=4 が最適であるという。