因子分析に限らず、一般に最法を用いると 尤度比検定(likelihood ratio
test)を用いてモデルのあてはまりの良さの検定が可能となる。
単純仮説(simple hypothesis)の場合、尤度比は、
|
ここで、分母の尤度は、尤度の無条件最大値、分子の尤度は、帰無仮説
(3.110) |
のもとでの条件付最大値である。
この時、
(3.111) |
は、帰無仮説のもとで、漸近的に自由度 ν の χ2 -分布に従う。ここで、
ν は自由なパラメータ数である。
因子分析の最尤解では、(3.109)式は、
(3.112) |
ここで、尤度の無条件最大値 L 1 は、(3.80)式、(3.83)式、(3.86)式、及び (3.87)式から、
(3.113) |
これより、
(3.114) |
これに対して、帰無仮説 H 0 のもとでの条件付最大値 L 0 は、
(3.115) |
ここで、
(3.116) |
また、
(3.117) |
が成り立つので、
(3.118) |
結局、これらより、
(3.119) |
一方、
(3.120) |
が成り立つので (Anderson, 1984, p.560-561.)、 (3.119)式の $\ell$ は、
|
ここで、 r +1
r +2 , ... ,
m
は、(3.106)式の行列の反復収束後の固有値のうち、大きい固有値を r 個除いた
残りの m - r 個である。
(3.111)式に、(3.121)式を代入すると、
|
ここで、χ 2 の自由度 ν は、最尤解の変量模型の自由パラメーター の数であり、
(3.123) |
と計算される。ここで、右辺の各項は順に、(3.79)式の Σ の要素数、 因子の回転の自由度、(3.79)式の、Λ、ψ の要素数である。 (3.123)式を整理すると、
|
因子数 r は、あらかじめ未知なので、まず r = 0 又は、1 と仮定した 場合の最尤解を求め、H 0( r =0 又は、1 での変量模型 (3.79)式が真)を 検定し、もし H 0 が棄却されたならば因子数を1つ増して再度最尤解を求め、 H 0 が採択されるか ν \leq 0 すなわち、
(3.125) |
となるまで、これを続ける。
この手続きは、しかしながら完全ではなく、不適解が得られたり、収束しなかった
りすることもある。
バートレット(Bartlett (1950))は、(3.122)式の χ 2 の近似をよくする ために、この式の N のかわりに、
N - (2m + 11)/6 - 2r /3, | (3.126) |
とする修正方法を提案している。
因子数を検定の立場からでなく、モデル選択の立場から見ると、例えば
赤池の情報量基準AICを求め、AIC最小の場合の変量模型を選択する。