これまで、因子分析における変量模型の最尤解について見てきたが、ここでは
やはり Lawley (1941) が導入した母数模型について若干述べる。詳細は立本
(1986)を参照のこと。
変量模型(3.71)又は(3.72)式では、因子得点 $\mbF$ 又は $\mbf_i$ は、
確率変数であり確定できないが、母数模型
\mbx_i = \mbmu + \mbA^{\ast} \mbf_i + \mbe_i, (3.138)
E(\mbx_i - \bar{\mbx}) = \mbA^{\ast} \mbf_i, (3.139)
\mbf_i = (\mbA^{\ast t} \mbA^{\ast})^{-1} \mbA^{\ast t} E(\mbx_i - \bar{\mbx}), (3.140)
しかし、すべてのパラメーター $\mbmu$、$\mbA^{\ast}$、$\mbf_i$ を同時に求める ことは、正規分布の仮定の時でさえ最尤推定量が存在しないことが、アンダーソン とルービン(Anderson \& Rubin,1956)により示されている。