3.4.3節 アパシーデータへの適用例

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 この節は、つぎの5項から成り立っています:

1.アパシーデータの永久 SAS ファイル化
2. アパシーデータの因子分析 (promax 解) のための SAS プログラム
3. アパシーデータの promax 解の出力結果とその見方
4. アパシーデータのターゲットパタンへの Procrustes 回転のためのプログラム
5. アパシーデータの Procrustes 回転による出力結果とその見方

 この節には、つぎの5つの SAS プログラムのダウンロードコーナーを用意して あります:

1. アパシーデータの永久 SAS ファイル化のための SAS プログラムの例
2. アパシーデータの因子分析 (promax 解) のためのプログラムの例
2. アパシーデータのターゲットパタンへの Procrustes 回転のためのプログラム

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 1)アパシーデータの永久 SAS ファイル化

  この節では、高橋(2001) が収集した(下山(1995) の用いた)アパシー心理性格尺度20変数、 167名の一般大学生のデータを使って、斜交回転の1つの方法である promax 法による promax 回転 の結果について簡単に説明する。
 データは、もともとエクセルで入力したものを、csv 形式 (comma separated value format) で保存し直したものである。以下のプログラムは、csv 形式のデ ータを SAS のデータ文でコンマを削除し永久 SAS ファイル化するためのものである。ユーザがこの プログラムを利用するときは、もちろん、ユーザのパソコン環境等により filename 文や libname 文 の中のドライブ名やディレクトリパス、ファイル名等を変更する必要がある。
 ここで、infile 文のオプションの1つである dsd を用いると、欠測値をピリオドを用いずブランク のままに入力してあってもうまく行くこともあるが、すべてピリオドを入力してあるのが望ましい:

*------------------------------------------------------ July 17, 2002 |
|  sas program--perm_csv.sas--                                        |
|       example 1 of sas programs for making a permanent file using   |
|     a set of csv file.                                              |
|                                                                     |
|  file name: c:\My Documents\sasprog\perm_csv.sas                    |
|                                                                     |
*---------------------------------------------------------------------*;
filename data 'c:\My Documents\data\apathykou.csv';
libname sasfile 'c:\My Documents\permfile';
options pagesize=40;
  title 'Apathy data gathered by Taro Takahashi'; 
data sasfile.apathy;
  infile data dsd;
  input apa1-apa20;
run;
  title 'A permanent file for the apathy data';
proc print data=sasfile.apathy n;
run;
 

--- アパシーデータの永久 SAS ファイル化プログラム ---

プログラムのダウンロード・コーナー

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perm_csv.sas

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2)アパシーデータの因子分析 (promax 解) のための SAS プログラム

  つぎのプログラムは、上記アパシーデータの因子分析 (promax 解) のための SAS プログ ラムである。因子数は、先行研究である下山(1995) の結果をもとに、4とした。

*------------------------------------------------------ July 17, 2002 |
|  sas program--fact-promax.sas--                                     |
|       example 1 of sas programs for obtaining a promax solution.    |
|                                                                     |
|  file name: c:\My Documents\sasprog\fact-promax.sas                 |
|                                                                     |
*---------------------------------------------------------------------*;
libname sasfile 'c:\My Documents\permfile';
options pagesize=60;

  title 'A promax solution for the apathy data by T. Takahashi';
proc factor data=sasfile.apathy
  /* method options */ method=p priors=max n=4 rotate=p;
  var apa1-apa20;
run;
 

--- アパシーデータの因子分析 (promax 解) のための SAS プログラム ---

 ここで、factor プロシジャのオプションのうち、method=p は主因子法、priors=max は共通性の 初期値として相関行列の行または列の最大のものの絶対値を充てることを、n=4 は(共通)因子として 4因子を、rotate=p は promax 回転を、それぞれ指示している。

プログラムのダウンロード・コーナー

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fact-promax.sas

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 3) アパシーデータの promax 解の出力結果とその見方

 前頁のプログラムを実行させると、つぎのような結果が得られる:

  1. 共通性の初期推定値
  2. 相関行列の固有値等
  3. 回転前の主因子解
  4. 回転前の主因子解における因子寄与(固有値)、共通性の最終推定値
  5. 主因子解の(バリマックス回転用)変換行列及びバリマックス回転後の因子パターン
  6. 主因子解・バリマックス回転後の因子寄与及び最終的な共通性
  7. プロクラステス回転用のターゲット行列(ターゲット因子パターン)等

     プロマックス回転では、もとの直交因子パターンを 3.2.4 節の (3.70f) 式により変換し、これ をターゲットにしてプロクラステス回転することにより、斜交解を得る方法であるので、SAS では その場合のターゲット行列等を出力する。

  8. プロマックス回転後の斜交因子間の相関行列  つぎに SAS では、プロマックス回転後の斜交因子間の相関を以下のように出力する:
      

    Inter-factor Correlations FACTOR1 FACTOR2 FACTOR3 FACTOR4 FACTOR1 1.00000 0.55882 0.52134 0.40203 FACTOR2 0.55882 1.00000 0.31604 0.36379 FACTOR3 0.52134 0.31604 1.00000 0.28351 FACTOR4 0.40203 0.36379 0.28351 1.00000

    --- プロマックス回転後の斜交因子間の相関行列 ---

  9. プロマックス回転による(斜交)因子パターン

     つぎに、以下のようなプロマックス回転による(斜交)因子パターンが出力される。

       
    Rotation Method: Promax
    
                                Rotated Factor Pattern (Std Reg Coefs)
    
                                      FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
    
                           APA1       0.47740  -0.05865  -0.01858  -0.08253
                           APA2       0.76716   0.13116  -0.12095  -0.01540
                           APA3       0.45565   0.13922   0.18995   0.07851
                           APA4       0.60480  -0.13816  -0.11118  -0.12229
                           APA5       0.72228   0.01905  -0.01397   0.10468
    
                           APA6      -0.20648   0.69980  -0.15341   0.18522
                           APA7       0.18910   0.69573   0.03310  -0.07786
                           APA8       0.17132   0.73414   0.05656  -0.10130
                           APA9       0.06078   0.50638   0.08615   0.29276
                           APA10      0.32293   0.55186  -0.11099   0.04323
    
                           APA11      0.35963  -0.22941   0.51209   0.04851
                           APA12      0.20990   0.15261   0.57726  -0.00812
                           APA13      0.35134   0.18186   0.41087   0.02531
                           APA14     -0.27680   0.27897   0.45910  -0.05333
                           APA15     -0.09736  -0.12854   0.68749   0.01528
    
                           APA16      0.17658  -0.49103  -0.10848   0.28563
                           APA17     -0.06442   0.06951  -0.03784   0.57052
                           APA18      0.23502   0.03438   0.00078   0.22658
                           APA19      0.01080  -0.09638  -0.07388   0.60827
                           APA20     -0.13634  -0.04739   0.21419   0.54665
       
     

    --- プロマックス回転による(斜交)因子パターン ---

  10. 参考軸間相関(reference axis correlation)、参考構造(reference structure)等

     斜交解では一般に、斜交因子間相関(行列)、最終的な斜交因子パターン、及び斜交因子構造 の3点セットが必要であるが、その時点で付随的に斜交参考軸 (oblique reference axes) や同参 考構造等が計算される。詳細は、Harman (1967) や柳井・繁桝・前川・市川 (1990) を参照のこと。

  11. プロマックス解による(斜交)因子構造

     つぎに、プロマックス解による(斜交)因子構造が以下のように出力される:

      
                                    Factor Structure (Correlations)
    
                                      FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
    
                           APA1       0.40176   0.17224   0.18838   0.08280
                           APA2       0.77121   0.51603   0.31609   0.30645
                           APA3       0.66404   0.48244   0.49376   0.36620
                           APA4       0.42047   0.12019   0.12580   0.03908
                           APA5       0.76772   0.45633   0.39827   0.39802
    
                           APA6       0.17906   0.60331   0.01262   0.31329
                           APA7       0.56384   0.78354   0.32949   0.26065
                           APA8       0.57032   0.81090   0.34917   0.25068
                           APA9       0.50636   0.67407   0.36087   0.52583
                           APA10      0.59084   0.71297   0.24403   0.34235
    
                           APA11      0.51790   0.15104   0.64083   0.25482
                           APA12      0.59287   0.44939   0.73262   0.29545
                           APA13      0.67735   0.51726   0.65869   0.34920
                           APA14      0.09700   0.24998   0.38784   0.06704
                           APA15      0.19537   0.03988   0.60044   0.12429
    
                           APA16     -0.03954  -0.32273  -0.09063   0.14724
                           APA17      0.18406   0.22910   0.11229   0.55918
                           APA18      0.34574   0.24839   0.19841   0.33380
                           APA19      0.16297   0.10759   0.07374   0.55661
                           APA20      0.16861   0.14298   0.28311   0.53532
      

    --- プロマックス解による(斜交)因子構造 ---

  12. 各因子の分散と最終的な共通性

     最後に、SAS では斜交因子の因子寄与と最終的な共通性の推定値を以下のように出力する。 ここで、1,2注意が必要である。

     まず、各因子の因子寄与については、斜交解では直交解と異なり因子間に相関があるので、 各因子の因子寄与は直交解のように単純な因子ごとの因子負荷量の2乗和にはならない。そこで、 斜交解の場合、因子寄与も単純な2乗和である直接的全寄与(total direct contributions) と 同時全寄与 (total joint contributions) の2種類を定義できる (Harman, 1967, p.284)。SAS では、それらのうちの前者を出力している

     2つ目として、斜交解における各変数(尺度)の共通性についても、斜交解の場合、直交解の 場合のような各変数ごとの因子負荷量の2乗和にはならない。因子間の相関がその理由である。 以下の出力を見ると、SAS では共通性の方は単純な2乗和にはなっていないことがわかる:

    Rotation Method: Promax
    
                       Variance explained by each factor ignoring other factors
    
                                  FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
                                 4.580109  4.156303  3.012049  2.353718
    
    
                             Final Communality Estimates: Total = 8.659331
    
                      APA1      APA2      APA3      APA4      APA5      APA6      APA7
                  0.171367  0.616372  0.492276  0.218933  0.599296  0.441312  0.642360
    
                      APA8      APA9     APA10     APA11     APA12     APA13     APA14
                  0.687372  0.557143  0.571972  0.492126  0.613537  0.611524  0.217371
    
                     APA15     APA16     APA17     APA18     APA19     APA20
                  0.390546  0.203376  0.318844  0.165587  0.324511  0.323506
    
       

     

    --- 各因子の分散と最終的な共通性 ---

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 4) アパシーデータのターゲットパタンへの Procrustes 回転のためのプログラム

 ここでは、これまでの promax 解とは異なり、アパシーの因子パターンとして仮設的なもの (ターゲット因子パタン)を考え、実際のデータから得られた因子パターンをこれに出来るだけ 近づけてみるとどうなるかを検討してみる。このためには、プロクラステス回転 (Procrustes rotation) という手法が知られている (例えば、Hurley & Cattell, 1962; Schonemann, 1966)。

 このデータにも、下山 (1995) にならい、4因子の斜交解に対して以下のような単純な因子 パターンを仮定することにより仮設的なターゲット因子パターンを構成し、実際のデータがどの 程度このパターンに近いといえるかを検討した。

 
*------------------------------------------------------ July 18, 2002 |
|  sas program--factproc-m.sas--                                      |
|       example 1 of sas programs for executing a Procrustes rotation |
|     a set of csv file.                                              |
|                                                                     |
|  file name: c:\My Documents\sasprog\perm_csv.sas                    |
|                                                                     |
*---------------------------------------------------------------------*;
libname sasfile 'c:\My Documents\permfile';
options pagesize=60;

data work;
  input apa1-apa20;
  cards;
 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0
 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1
;
run;

  title 'A Procrustes solution for the apathy data';
proc factor data=sasfile.apathy target=work
  /* method options */ method=p priors=max n=4 rotate=procrustes;
  var apa1-apa20;
run;
  

--- ターゲットパタンへの Procrustes 回転のためのプログラム ---

 うえのプログラムで、ターゲットパターンは cards 文の直後に指定してあるものである。 すなわち、アパシーの20尺度に対する4因子ごとの仮設的な因子負荷量を、この場合0と1で 指定している。一般的には0か1である必要はない。Procrustes 回転には直交回転と斜交回転が あるが、SAS では斜交回転が用意されている。

プログラムのダウンロード・コーナー

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 5) アパシーデータの Procrustes 回転による出力結果とその見方

  1. 主因子法における共通性の初期推定値
  2. 主因子法における固有値
  3. 主因子法における回転前の因子パターン
  4. 主因子法における回転前の因子寄与(固有値)、共通性の最終推定値
  5. プロクラステス回転用のターゲット(因子)パターン

    Rotation Method: Procrustes
    
                             Target Matrix for Procrustean Transformation
    
                                      FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
    
                           APA1       1.00000   0.00000   0.00000   0.00000
                           APA2       1.00000   0.00000   0.00000   0.00000
                           APA3       1.00000   0.00000   0.00000   0.00000
                           APA4       1.00000   0.00000   0.00000   0.00000
                           APA5       1.00000   0.00000   0.00000   0.00000
                           APA6       0.00000   1.00000   0.00000   0.00000
                           APA7       0.00000   1.00000   0.00000   0.00000
                           APA8       0.00000   1.00000   0.00000   0.00000
                           APA9       0.00000   1.00000   0.00000   0.00000
                           APA10      0.00000   1.00000   0.00000   0.00000
                           APA11      0.00000   0.00000   1.00000   0.00000
                           APA12      0.00000   0.00000   1.00000   0.00000
                           APA13      0.00000   0.00000   1.00000   0.00000
                           APA14      0.00000   0.00000   1.00000   0.00000
                           APA15      0.00000   0.00000   1.00000   0.00000
                           APA16      0.00000   0.00000   0.00000   1.00000
                           APA17      0.00000   0.00000   0.00000   1.00000
                           APA18      0.00000   0.00000   0.00000   1.00000
                           APA19      0.00000   0.00000   0.00000   1.00000
                           APA20      0.00000   0.00000   0.00000   1.00000
        

     

    --- プロクラステス回転用のターゲット(因子)パターン ---

     上の結果はプログラムのところであらかじめ入力したものを出力しているに過ぎない。

  6. プロクラステス回転用変換行列(2種類)
  7. プロクラステス回転後の因子間相関

      
    
                                       Inter-factor Correlations
    
                                      FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
    
                           FACTOR1    1.00000   0.53547   0.55979   0.22382
                           FACTOR2    0.53547   1.00000   0.47392   0.27902
                           FACTOR3    0.55979   0.47392   1.00000   0.30811
                           FACTOR4    0.22382   0.27902   0.30811   1.00000
        
     

     

    --- プロクラステス回転後の因子間相関 ---

  8. プロクラステス回転後の(斜交)因子パターン

      
    Rotation Method: Procrustes
    
                                Rotated Factor Pattern (Std Reg Coefs)
    
                                      FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
    
                           APA1       0.42874  -0.03976   0.02104  -0.03828
                           APA2       0.68471   0.21016  -0.06690   0.02316
                           APA3       0.37532   0.17638   0.24992   0.08020
                           APA4       0.55607  -0.11042  -0.07136  -0.05490
                           APA5       0.63945   0.10293   0.04306   0.14153
    
                           APA6      -0.20838   0.77789  -0.18138   0.08044
                           APA7       0.12462   0.72252   0.06658  -0.14253
                           APA8       0.10437   0.75315   0.09243  -0.17056
                           APA9       0.01381   0.59103   0.10137   0.21303
                           APA10      0.26561   0.62768  -0.08799  -0.00080
    
                           APA11      0.27811  -0.26442   0.59456   0.08029
                           APA12      0.11713   0.10313   0.66227  -0.02847
                           APA13      0.25783   0.17329   0.48885   0.01290
                           APA14     -0.30865   0.20123   0.49307  -0.11308
                           APA15     -0.15053  -0.22443   0.75345   0.00327
    
                           APA16      0.19399  -0.42252  -0.12168   0.33653
                           APA17     -0.06097   0.20137  -0.06197   0.51695
                           APA18      0.20460   0.10589   0.01514   0.22082
                           APA19      0.01869   0.04652  -0.09949   0.57724
                           APA20     -0.14403   0.03642   0.21081   0.49672
        
     

     

    --- プロクラステス回転後の(斜交)因子パターン ---

  9. 参考軸間相関 (reference axis correlation) と参考構造 (reference structure) 等
  10. プロクラステス回転後の(斜交)因子構造

      
                                    Factor Structure (Correlations)
    
                                      FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
    
                           APA1       0.41066   0.18911   0.23041   0.05307
                           APA2       0.76498   0.55157   0.42313   0.21444
                           APA3       0.62762   0.51817   0.56832   0.29042
                           APA4       0.44471   0.13821   0.17068   0.01676
                           APA5       0.75035   0.50524   0.49341   0.32664
    
                           APA6       0.12463   0.60279   0.09541   0.19497
                           APA7       0.51688   0.78104   0.43484   0.10748
                           APA8       0.52124   0.80526   0.45524   0.09143
                           APA9       0.43472   0.70590   0.45484   0.41226
                           APA10      0.55228   0.72798   0.35791   0.20667
    
                           APA11      0.48731   0.18867   0.64966   0.25194
                           APA12      0.53671   0.47177   0.76794   0.23057
                           APA13      0.62716   0.54662   0.71928   0.26958
                           APA14      0.04980   0.23807   0.38081   0.02591
                           APA15      0.15180   0.05295   0.56384   0.13910
    
                           APA16     -0.02505  -0.28241  -0.10964   0.22457
                           APA17      0.12787   0.28360   0.15861   0.54040
                           APA18      0.31920   0.28424   0.24789   0.30083
                           APA19      0.11711   0.17044   0.11088   0.56375
                           APA20      0.10465   0.19780   0.30049   0.53960
        
     

     

    --- プロクラステス回転後の(斜交)因子構造 ---

     うえの結果からは、、因子パターンではこのデータの構造はターゲットに近いかなり単純な 構造になっているが、因子構造で見ると必ずしもそうでないことが明らかである。因子の解釈 という観点に立つと、常識的には、因子パターン(すなわち、因子の係数)より因子構造(すな わち、因子と個々の変数との相関の情報)の方が合理的とも見れなくないので、この結果は、 少なくともこのデータの場合、因子パターンが単純構造と見れるというだけでは因子の解釈が すっきりしたと結論付けるのは早計ではないか。

  11. プロクラステス回転後の因子寄与

     ここでは、プロクラステス回転後の因子寄与が出力される。ただし、プロマックス回転のところで も述べたように、斜交回転解では因子間相関があるので、因子寄与にも2種類あることに注意された い。 すなわち斜交因子では、因子寄与も単純な2乗和である直接的全寄与(total direct contributions) と、同時全寄与 (total joint contributions) の2種類を定義できる (Harman, 1967, p.284)。SAS では、それらのうちの前者を出力している。

      
    Rotation Method: Procrustes
    
                       Variance explained by each factor ignoring other factors
    
                                  FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
                                 4.044838  4.458519  3.761401  1.761994
        
     

     

    --- プロクラステス回転後の因子寄与 ---

  12. プロクラステス回転後の共通性の推定値

     プロマックス回転のところでも述べたように、斜交解における各変数(尺度)の 共通性についても、斜交解の場合、直交解の場合のような各変数ごとの因子負荷量の2乗和に はならない。因子間の相関がその理由である。以下の出力を見ると、SAS では共通性の方は単 純な2乗和にはなっていないことがわかる:

      
                            Final Communality Estimates: Total = 8.659331
    
                      APA1      APA2      APA3      APA4      APA5      APA6      APA7
                  0.171367  0.616372  0.492276  0.218933  0.599296  0.441312  0.642360
    
                      APA8      APA9     APA10     APA11     APA12     APA13     APA14
                  0.687372  0.557143  0.571972  0.492126  0.613537  0.611524  0.217371
    
                     APA15     APA16     APA17     APA18     APA19     APA20
                  0.390546  0.203376  0.318844  0.165587  0.324511  0.323506
      
     

     

    --- プロクラステス回転後の共通性の推定値 ---

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