5.5 節 ローデータからの適用例

 これまで、共分散構造分析 (SEM) の理論について述べてきたが、実際にユーザ がローデータを手にした場合、どのように SEM モデルを構築し、どのように SAS プログラムを組み、結果を手にすることができるのか、については未だふれてこな かった。この節では、具体的なデータをもとに SEM モデルを構築する手順について ふれる。

5.5.1 節 ローデータの概要と SEM 解析のための事前分析

Eric's eye-bar icon

 この節には、つぎの3つの SAS プログラムとそれらの出力結果の概要、

1. ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例1
2. ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例1出力結果
3. ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例2
4. ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例2出力結果
5. ローデータの項目の SEM 用相関行列作成プログラム
6. ローデータの項目の SEM 用相関行列作成プログラム出力結果

 及び対応する3つの SAS プログラムのダウンロードコーナーを用意してあります:

1. ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例1
2. ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例2
3. ローデータの項目の SEM 用相関行列作成プログラム

Eric's eye-bar icon

 ここでは、A 大学の竹内 (2000) が入手した卒業論文用のデータを例に、SEM モデルの具体的な適用方法について述べる。彼女は、3種の場面を想定し、そこ での同調行動が、他者からの評価が気になるかとうか(公的自己意識・私的自己 意識)、自尊心の高低、孤独感の有無に依存する、との仮説を立て、170名の 被験者に回答を求めた。

 同調行動については、3種の各場面3尺度、合計9尺度 conf-mayu.jtd(一太郎ファイル) から成る。一方、自己意識については黒沢 (1992) の自己意識尺度と自尊心尺度 43項目self-mayu.jtd(一太郎ファイル) からなる。このうち、最初と最後の項目は、自己意識と無関係な尺度を入れてある。 最後に、孤独感尺度については、改訂 UCLA 孤独感尺度の邦訳20尺度(諸井、 1992)lone-mayu.jtd(一太郎ファイル) を用いた。

 

5.5.1.1 節 ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例1

 一般的には、SEM 分析を行うには、観測変数と潜在変数(内生あるいは外生 潜在変数)間に関する先行研究や過去の知見等をもとにした、確証のための仮説 がかなり明確になっている必要がある。

 その意味では、ここで紹介する竹内の研究の場合、必ずしもそのような仮説が 分析に先立ちあらかじめ用意されていたわけではないので、SEM 分析のための最適 な例とは言えない。むしろ、かなり探索的なレベルの研究であるので、ここでは、 観測データに、因子分析を施し直交解や斜交解を求め、それらの結果をもとに探 索的にパス図を構成することにした。

 いずれにせよ、ここでの分析は、適切な適用例を掲げるためではなく、あくま でもローデータから SEM の SAS プログラムを構築するための手順を述べるため のものと理解されたい。

 最初のプログラムは、ローデータの項目間相関関係を、3種の尺度のそれぞれ について因子分析したのち、それぞれについて直交因子を求め、それら直交因子 間の相関関係を分析した結果の一部を用いて、同調行動と自己意識(公的・私的 含む)に関する SEM を構築するための前段階としての当該観測変数間の相関行列 を求めるためのものである。
 これに対して、2つ目の例は最初から3種の尺度のうち、同調行動尺度の一 部(9尺度のうち、A と C にかかわる6尺度)及び自己意識の一部(自己意識 の直交2因子に負荷の高い尺度)に限定し、それらに対する斜交因子を求めるた めのプログラムである。
 また、最後のプログラムは、これら2つの方法による結果をもとに、観測変数 を絞り込んだ後の共分散構造分析のための相関行列作成のためのプログラムである。

Eric's eye-bar icon

 最初のプログラムは以下に示す通りである。この場合、既に竹内データは、 永久 SAS ファイルが p ドライブの下のフォルダ (permfile) に mayumi(.sd2) として作成されていることを前提とする:

*---------------------------------------------------------------------*
|                                                                     |
|  sas program--fact_corr-mayu.sas--                                  |
|                                                                     |
|      An example of sas programs for executing factor analysis and   |
|  correlation analysis prior to a CALIS analysis for the Takeuchi    |
|  data.                                                              |
|                                                                     |
*---------------------------------------------------------------------*;
libname sasfile 'p:\permfile';
options pagesize=60;
  title 'principal FA for the conformity data';
proc factor data=sasfile.mayumi
  /* method options */ method=p priors=max n=3 rotate=v re
  /* output options */ score outstat=factout;
  var cona1-cona3 conb1-conb3 conc1-conc3;
run;
proc score data=sasfile.mayumi score=factout out=scores;
run;

data factran1;
  set scores;
  array conf{3};
  array confact{3} factor1-factor3;
    do j=1 to 3;
      conf{j}=confact{j};
    end;
  drop cona1-cona3 conb1-conb3 conc1-conc3;
  output;
run;
  title 'principal FA for the self concept data';
proc factor data=sasfile.mayumi
   method=p priors=max n=4 rotate=v re
   score outstat=factout;
  var self2-self42;
run;
proc score data=sasfile.mayumi score=factout out=scores;
run;
data factran2;
  set scores;
  array selc{4};
  array selfact{4} factor1-factor4;
    do j=1 to 4;
      selc{j}=selfact{j};
    end;
  drop self2-self42;
  output;
run;

  title 'principal FA for the solitude data';
proc factor data=sasfile.mayumi
   method=p priors=max n=2 rotate=v re
   score outstat=factout;
  var sol1-sol20;
run;
proc score data=sasfile.mayumi score=factout out=scores;
run;
data factran3;
  set scores;
  array solf{2};
  array solfact{2} factor1-factor2;
    do j=1 to 2;
      solf{j}=solfact{j};
    end;
  drop sol1-sol20;
  output;
run;

data allfact;
  merge factran1 factran2 factran3;
run;
  title 'correlations among various factors';
proc corr nomiss data=allfact;
  var conf1-conf3 selc1-selc4 solf1-solf2;
run;

プログラムのダウンロード・コーナー

Eric's abar10 icon

fact_corr-mayu.sas

Eric's back icon

5.5.1.2 節 ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例1出力結果

 上記プログラムを実行すると、以下のような出力結果が出される:

1. 同調行動9尺度のの因子分析(主因子解、バリマックス回転)結果

         Rotated Factor Pattern

           FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3

CONC2      0.91862   0.07930  -0.01277
CONC3      0.89903   0.09365   0.01711
CONC1     -0.84085  -0.03800   0.07826

CONB2      0.11550   0.89367   0.01837
CONB3      0.03880   0.88434   0.08099
CONB1     -0.04467  -0.67157   0.04232

CONA2      0.00572  -0.06408   0.81888
CONA3     -0.04012   0.13822   0.77266
CONA1      0.03249   0.02855  -0.73967

    Variance explained by each factor

           FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3
          2.378670  2.072249  1.829946

 第1因子は、conc1 から conc3 尺度に高い負荷を示し、「スポーツ観戦(同 調)」因子、第2因子は conb1 から conb3 尺度に高い負荷を示し、「講義話題 (同調)」因子、第3因子は cona1 から cona3 尺度に高い負荷を示し、「種蒔き (同調)」因子、と命名された。

2. 同調行動9尺度のの因子分析による因子得点計算の中間結果

3. 自己意識41尺度のの因子分析(主因子解、バリマックス回転)結果

                                    Rotated Factor Pattern

                                  FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4

                       SELF6      0.80714  -0.09903   0.07583   0.19712
                       SELF5      0.79090  -0.22820   0.08094   0.17640
                       SELF30     0.71345  -0.11264  -0.01314   0.06299
                       SELF3      0.68740  -0.14824   0.13068   0.14060
                       SELF2      0.66396  -0.22953   0.22934   0.23078
                       SELF8      0.57294  -0.20879  -0.05163  -0.09120
                       SELF34    -0.62511  -0.01883   0.07991  -0.00356
                       SELF13    -0.63690   0.11065  -0.23813  -0.05104
                       SELF28    -0.65667   0.22801  -0.05360  -0.06635
                       SELF37    -0.66501   0.03686  -0.05236   0.04388

                       SELF22    -0.07295   0.70097  -0.09132  -0.03693
                       SELF29     0.01027   0.68224  -0.07275   0.16670
                       SELF40    -0.24046   0.61766  -0.26783   0.13088
                       SELF15    -0.22452   0.57255  -0.04893   0.07585
                       SELF11    -0.07403   0.56410  -0.09002  -0.01042
                       SELF23     0.27162  -0.31548   0.15365   0.05123
                       SELF4      0.31463  -0.46386   0.26416   0.17014
                       SELF35     0.19866  -0.50505   0.13644   0.13977
                       SELF36    -0.03684  -0.53282   0.06593   0.00549
                       SELF38     0.16902  -0.57519   0.09150  -0.01319
                       SELF41     0.18858  -0.67962   0.05923  -0.01339

                       SELF10    -0.11079  -0.03796   0.75735  -0.00061
                       SELF19     0.36439  -0.18114   0.60000   0.08266
                       SELF9      0.24172  -0.04156   0.59227  -0.04023
                       SELF18     0.34231   0.02610   0.57146  -0.12078
                       SELF7      0.39212  -0.27449   0.54430   0.11015
                       SELF14     0.02262  -0.39842   0.47648   0.15760
                       SELF32     0.34374  -0.26082   0.43583   0.24145
                       SELF25     0.21267   0.14447  -0.52263  -0.01176
                       SELF21    -0.14940   0.23429  -0.54348  -0.15565
                       SELF31     0.10145   0.16144  -0.67467   0.08555

                       SELF12    -0.01768  -0.00052   0.06767   0.69890
                       SELF16    -0.06395  -0.10997   0.10303   0.63797
                       SELF42     0.12655   0.03529   0.11998   0.45371
                       SELF33    -0.00205  -0.03926  -0.04773   0.45027
                       SELF17    -0.01278  -0.09244   0.06040   0.42291
                       SELF26     0.00554   0.02593  -0.09379   0.35807
                       SELF20    -0.09565  -0.01661   0.02721  -0.31294
                       SELF39    -0.22072   0.09180  -0.13717  -0.33076
                       SELF27    -0.09824  -0.11719   0.13890  -0.48202
                       SELF24    -0.07540  -0.16748  -0.11143  -0.54234


                               Variance explained by each factor

                              FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
                             5.859086  4.404686  3.821055  2.762810

 第1因子は、self6 から self37 に高い負荷を示し、「公的自己意識」因子、 第2因子は、self22 から self41 に高い負荷を示し、「自尊心」因子、 第3因子は、self20 から self31 に高い負荷を示し、「社会的自尊心」因子、 第4因子は、self12 から self24 に高い負荷を示し、「私的自己意識」因子、 と命名された。

4. 自己意識41尺度のの因子分析による因子得点計算の中間結果

5. 孤独感20尺度の因子分析(主因子解、バリマックス回転)結果

    Rotated Factor Pattern

           FACTOR1   FACTOR2

SOL3       0.76450  -0.34535
SOL13      0.74513  -0.20921
SOL14      0.67978  -0.43456
SOL7       0.62601  -0.47986
SOL18      0.61123  -0.13003
SOL12      0.50994  -0.39649
SOL11      0.46297  -0.44689
SOL8       0.41491  -0.01323
SOL4      -0.42473   0.41676
SOL6      -0.49744   0.40000
SOL19     -0.52764   0.50579
SOL5      -0.53245   0.32998
SOL10     -0.60932   0.47636
SOL16     -0.76423   0.17372
SOL20     -0.78726   0.33921

SOL1      -0.36240   0.64778
SOL15     -0.09136   0.61552
SOL9      -0.02781   0.41060
SOL17      0.21491  -0.61156
SOL2       0.48454  -0.63868

 Variance explained by each factor

           FACTOR1   FACTOR2
          6.000065  3.775707

 第1因子は、sol3、sol13、... sol2 尺度に高い負荷を示すので、竹内は これを「対人的孤独感」因子、第2因子は、sol1、sol15、... sol2 尺度に 高い負荷を示すので、「自己孤独感因子」と命名した。

6. 孤独感20尺度のの因子分析による因子得点計算の中間結果

 7. 同調行動3因子、自己意識4因子、孤独感2因子相互の相関

 最後の解析では、上記3種類の因子分析による(直交)因子間の相関係数と その検定結果を打ち出すためのプログラムによる出力結果であり、若干の単純 集計結果のあと、つぎのような合計9因子間の相互の相関行列とそのそれぞれの 相関係数の有意性の検定における p-値を出力する:

  Pearson Correlation Coefficients / Prob > |R| under Ho: Rho=0 / N = 162

        CONF1  CONF2  CONF3  SELC1  SELC2  SELC3  SELC4  SOLF1  SOLF2

CONF1   1.00   -0.02   0.01   0.17  -0.15   0.19  -0.04   0.16   0.13
         0.0    0.81   0.89   0.03   0.05   0.02   0.60   0.04   0.10

CONF2  -0.02    1.00   0.06   0.06  -0.16   0.03   0.05   0.09   0.14
        0.80    0.0    0.47   0.42   0.05   0.72   0.54   0.24   0.08

CONF3   0.01    0.06   1.00   0.24  -0.04   0.14  -0.09  -0.04   0.15
        0.89    0.47   0.0    0.00   0.61   0.08   0.26   0.60   0.06

SELC1   0.17    0.06   0.24   1.00  -0.04   0.02   0.01   0.15   0.12
        0.03    0.42   0.00   0.0    0.64   0.76   0.93   0.05   0.12

SELC2  -0.15   -0.16  -0.04  -0.04   1.00  -0.05   0.01   0.10  -0.24
        0.05    0.05   0.61   0.64   0.0    0.56   0.95   0.22   0.00

SELC3   0.19    0.03   0.14   0.02  -0.05   1.00   0.02  -0.02   0.54
        0.02    0.72   0.08   0.76   0.56   0.0    0.83   0.81   0.00

SELC4  -0.04    0.05  -0.09   0.01   0.01   0.02   1.00  -0.14   0.11
        0.60    0.54   0.26   0.93   0.95   0.83   0.0    0.07   0.16

SOLF1   0.16    0.09  -0.04   0.15   0.10  -0.02  -0.14   1.00  -0.14
        0.04    0.24   0.60   0.05   0.22   0.81   0.07   0.0    0.07

SOLF2   0.13    0.14   0.14   0.12  -0.24   0.54   0.11  -0.14   1.00
        0.10    0.08   0.06   0.12   0.00   0.00   0.16   0.07   0.0

Eric's eye-bar icon

 5.5.1.3 節 ローデータの項目の相関関係分析用プログラムの例2

 2つ目は、上記同調行動及び自己意識の一部の尺度の斜交因子解を求めるための プログラムであり、まず主因子解を求め、それをプロマックス回転する。
 この場合も、プログラムでは p ドライブの直下のフォルダ (permfile) に 既に竹内データの永久 SAS ファイルが保存されているものとする。

*---------------------------------------------------------------------*
|                                                                     |
|  sas program--promax1-mayu.sas--                                    |
|      An example of sas programs for executing a promax solution for |
|  Takeuchi (2001) data.                                              |
|                                                                     |
*---------------------------------------------------------------------*;
libname sasfile 'c:\My Documents\permfile';
options pagesize=60;
  title 'a promax solution for the Takeuchi (2000) data';
proc factor data=sasfile.mayumi 
   method=p priors=m n=4 rotate=p re;
  var conc2 conc3 conc1 cona2 cona3 cona1
      self6 self5 self30 self3 self2 self8 self34 self13 self28 self37
      self12 self16 self42 self33 self17 self26 self20 self39 self27 self24;
run;
    

プログラムのダウンロード・コーナー

Eric's abar10 icon

promax1-mayu.sas

Eric's back icon

5.5.1.4 節 ローデータの項目の相関分析用プログラムの例2出力結果

 1. 全尺度に対する主因子解バリマックス回転結果

                                    Rotated Factor Pattern

                                  FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4

                       SELF5      0.84043   0.12520   0.00284   0.04798
                       SELF6      0.83170   0.15028   0.02109   0.04548
                       SELF2      0.73020   0.23888   0.11343   0.10062
                       SELF3      0.72975   0.13163  -0.03448   0.01153
                       SELF30     0.71415   0.04699   0.14804   0.07573
                       SELF8      0.59063  -0.08858   0.07168   0.02668
                       SELF34    -0.58189  -0.02001  -0.11298  -0.05212
                       SELF13    -0.62870  -0.04739  -0.12381  -0.20067
                       SELF37    -0.65672   0.03061  -0.07931  -0.00498
                       SELF28    -0.71273  -0.06477  -0.01705  -0.02222

                       SELF12     0.02723   0.70162  -0.04521   0.01093
                       SELF16     0.01323   0.61280  -0.02488  -0.02231
                       SELF42     0.11951   0.48868   0.02756   0.06572
                       SELF33     0.00472   0.44842   0.11504  -0.06597
                       SELF17    -0.00648   0.44624   0.08850   0.05200
                       SELF26    -0.04768   0.27097  -0.03191  -0.04551
                       SELF20    -0.11584  -0.32991  -0.04816   0.07983
                       SELF39    -0.24090  -0.37098  -0.09342  -0.02680
                       SELF27    -0.07900  -0.50064   0.15512   0.07171
                       SELF24    -0.04434  -0.58814  -0.02553   0.05897

                       CONC2      0.13415   0.02427   0.90931  -0.02490
                       CONC3      0.13127   0.08020   0.88784   0.00577
                       CONC1     -0.18387  -0.01948  -0.82267   0.09126

                       CONA2      0.07418  -0.14830  -0.00480   0.80387
                       CONA3      0.26904  -0.10845  -0.06011   0.73091
                       CONA1     -0.03943  -0.02382   0.03790  -0.75550

                               Variance explained by each factor

                              FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
                             5.241444  2.595451  2.434471  1.854552
    

 第1因子は、直交因子の場合の「公的自己意識」因子、第2因子は同「私的 自己意識」因子、第3因子は同「スポーツ観戦(同調)」因子、第4因子は同 「種蒔き(同調)」因子、にほぼ対応することがわかる。

 2. プロマックス回転後の4因子間相関

                                   Inter-factor Correlations

                                  FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4

                       FACTOR1    1.00000   0.20017   0.22247   0.20877
                       FACTOR2    0.20017   1.00000   0.05329  -0.09483
                       FACTOR3    0.22247   0.05329   1.00000  -0.02935
                       FACTOR4    0.20877  -0.09483  -0.02935   1.00000
    

 この結果及び専攻研究からは、第1因子(公的自己意識因子)から第3因子 (スポーツ観戦同調因子)及び第4因子(種蒔き同調因子)へのパスが推測さ れる。公的自己意識因子から第2因子の私的自己意識因子への相関も上記2因子 とほぼ同様の相関があることから、パスが推測されるが、直交因子解の結果か らは両者は無相関であり、矛盾する。また、先行研究からは、第2因子の私的 自己意識因子から同調行動への負の関係が推測されるが、上の結果からはその ような関係は第4因子の種蒔き同調因子に対して若干見られるのみである。

 3. プロマックス回転による因子パターン

                            Rotated Factor Pattern (Std Reg Coefs)

                                  FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4

                       SELF5      0.85866   0.03752  -0.06601  -0.01828
                       SELF6      0.84435   0.06363  -0.04665  -0.01845
                       SELF3      0.75387   0.05329  -0.09626  -0.04752
                       SELF30     0.70762  -0.02675   0.09440   0.02395
                       SELF2      0.70470   0.17006   0.05855   0.05405
                       SELF8      0.61306  -0.15519   0.02470  -0.02399
                       SELF34    -0.58136   0.04132  -0.06872  -0.00865
                       SELF13    -0.60085   0.00372  -0.08127  -0.15926
                       SELF37    -0.67845   0.10582  -0.02620   0.04962
                       SELF28    -0.73353   0.01245   0.04166   0.03552

                       SELF12    -0.04285   0.71410  -0.04796   0.03334
                       SELF16    -0.04541   0.62149  -0.02719  -0.00226
                       SELF42     0.05661   0.49125   0.02076   0.07676
                       SELF17    -0.07798   0.46015   0.09330   0.07426
                       SELF33    -0.05083   0.44884   0.11529  -0.04726
                       SELF26    -0.06696   0.27748  -0.03023  -0.03395
                       SELF20    -0.09129  -0.31474  -0.03685   0.07816
                       SELF39    -0.19296  -0.35282  -0.07659  -0.02431
                       SELF27    -0.06428  -0.49608   0.16803   0.06811
                       SELF24     0.01182  -0.58855  -0.02053   0.04172

                       CONC2      0.00075  -0.00291   0.91976  -0.00112
                       CONC3     -0.01017   0.05781   0.89913   0.03201
                       CONC1     -0.07797   0.01920  -0.82438   0.07738

                       CONA2     -0.04004  -0.07797   0.01782   0.81693
                       CONA3      0.18065  -0.06615  -0.05788   0.72421
                       CONA1      0.08200  -0.09696   0.01487  -0.77519
    

 5. プロマックス回転による因子構造(因子と尺度間の相関関係)

                                Factor Structure (Correlations)

                                  FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4

                       SELF5      0.84767   0.20761   0.12755   0.15936
                       SELF6      0.84286   0.23191   0.14512   0.15316
                       SELF3      0.73320   0.20357   0.07568   0.10764
                       SELF30     0.72827   0.11765   0.24970   0.17145
                       SELF2      0.76305   0.30911   0.22280   0.18332
                       SELF8      0.58248  -0.02888   0.15352   0.11800
                       SELF34    -0.59018  -0.07789  -0.19560  -0.13192
                       SELF13    -0.65143  -0.10577  -0.21007  -0.28267
                       SELF37    -0.65274  -0.03608  -0.17295  -0.10129
                       SELF28    -0.71435  -0.13553  -0.12191  -0.12002

                       SELF12     0.09638   0.69980  -0.02042  -0.04192
                       SELF16     0.07247   0.61117  -0.00411  -0.06988
                       SELF42     0.17559   0.49641   0.05727   0.04139
                       SELF17     0.05039   0.44247   0.09829   0.01161
                       SELF33     0.05480   0.44929   0.12929  -0.10382
                       SELF26    -0.02524   0.26568  -0.02935  -0.07335
                       SELF20    -0.14617  -0.34239  -0.07623   0.09003
                       SELF39    -0.28570  -0.39322  -0.13761  -0.02888
                       SELF27    -0.11198  -0.50646   0.12529   0.09680
                       SELF24    -0.10185  -0.59124  -0.05049   0.10060

                       CONC2      0.20455   0.04636   0.91980  -0.02768
                       CONC3      0.20811   0.10065   0.89901  -0.00199
                       CONC1     -0.24138  -0.04767  -0.84298   0.08348

                       CONA2      0.11887  -0.16251  -0.01922   0.81544
                       CONA3      0.30573  -0.10175  -0.04247   0.76989
                       CONA1     -0.09593  -0.00624   0.05069  -0.74931

                   Variance explained by each factor ignoring other factors

                              FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3   FACTOR4
                             5.565159  2.792633  2.749329  2.139291
    

Eric's back icon

Eric's eye-bar icon

 5.5.1.5 節 ローデータの項目の SEM 用相関行列作成プログラム

  最後のプログラムは、上記2種類の因子分析結果を参考にして、竹内データの 中から同調行動の尺度の一部と自己意識尺度のみを取り出し簡単な例を構成し、 SEM による分析を行うための相関行列をファイル(永久 SAS ファイル名、 sasfile.mtpathda)に出力するためのものである。もちろん、ここで SEM 分析に かけるべき変数を決めるということは、この時点で、当該観測変数(複数)に 関して、仮説的なパス図が完成していることが前提である
 SEM では、同一データ(正確には同一標本共分散行列もしくは標本相関行列)に 対して幾つかのモデルをフィットさせたり、パスの削除や追加を繰り返すことが 多いので、この例のように一旦、データとしての標本共分散行列もしくは相関行列 を SAS セッションが終了しても残るように、永久 SAS ファイルとして残るように しておくのが便利である。
 SAS では、そのためには corr プロシジャを用いる。下記の例では、このプロ シジャにより相関行列をファイル出力する。もし、共 分散行列を用いた SEM 分析を行いたい場合には、このプロシジャで、COV オプ ションをつけ加えればよい

*---------------------------------------------------------------*
|                                                               |
|  sas program -- corr-mayu.sas                                 |
|                                                               |
|    A sas program for creating correlation matrices to execute |
|  SEMs for the Takeuchi (2001) data.                           |
|                                                               |
*---------------------------------------------------------------*;
libname sasfile 'p:\permfile';
options ps=60;
  title 'correlations among variables on path-diagram A';
proc corr nomiss data=sasfile.mayumi outp=sasfile.mtpathda;
  var conc2 conc3 conc1 cona2 cona3 cona1 
   self6 self5 self30 self3 self2 self8 self34 self13 self28 self37 
   self12 self16 self42 self33 self17 self26 self20 self39 self27 self24;
run;
    

プログラムのダウンロード・コーナー

Eric's abar10 icon

corr-mayu.sas

Eric's back icon

5.5.1.6 節 ローデータの項目の SEM 用相関行列作成プログラム出力結果

 竹内データの項目の SEM 用相関行列作成プログラム出力結果については、自明 であるので、ここでは省略する。 Eric's back icon