このページは、平成11年2月5日に開設しました。
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計画的非直交対比は、実験者があらかじめどのような対比の検討を するか決めてはいるが、必ずしも直交しない複数の対比(これを以下 C個と書く)に関心を持っている場合をさす。
これには、ダンの多重比較手続き (Dunn's multiple comparison procedure) 又は別名 ボンフェロニ手続き (the Bonferroni procedure)、ダンの手続きの idák の修正 (idák's modification of Dunn's procedure)、ダネットの統制群平均を含む対比検定 (Dunnett's test for contrasts involving a control mean) が知られている。
つぎの不等式を用いるボンフェロニ手続きの最初の提案者は、Kirk (1982) によれば知られていないが、Dunn(1961) は、対ごとの第一種の過誤率 (error rate per contrast) を αpc_i、実験あたりの 同過誤率(experimentwise error rate) を αEW として、
(1.30) |
であることを示している。したがって、ボンフェロニ 手続きでは (1.28) 式の t 検定で、個々の対比検定の有意水準を α でなく、α/C に取る。こうすれば、αEW は α を越えることはないこ とになる。上記不等式は、ブールの公式 (Boole's formula) の一次近似に基づいている。
ここで、実験あたりの過誤率 αEW、対比ごとの過誤率(ここでは、対 ごとの過誤率は同一と考えられる場合)αpc は、つぎのように定義される:
ここで、うえの定義における「実験」は、この節のような1要因実験ではまさに それそのものであるが、例えは2要因実験で交互作用も含める場合には2つの主 効果および交互作用のそれぞれを実験と見なすこともある。そのような実験では、 個々の実験を1つの族と考え、 族あたりの過誤率 (familywise error rate) と呼ぶことが多い。この場合の族あたりの過誤率を αFW と書くと、これはつぎのように定義される:
idák (1967) は、非直交対比の場合、 Dunnの αEW の上 限値 を、 1-(1- αpc)C と修正すべきことを証明した。これによれ ば、個々の対比検定の有意水準は、α/C では なく、
としなければならない。もっとも、彼の証明は直接的に当式を証明するものではなく、Dunn (1958, 1959) が推量したすべての平均がゼロで任意の共分散行列を持つ多変量正規分布変量の矩形信頼領域が得られ る確率が個々の1変量正規分布の信頼区間が得られる確率の積となることの証明である(idák, 1967)。
計画的非直交対比も、計画的直交対比と同様、教育や心理の分野ではあまり使われ ていない。