この頁は、平成14年9月30日に新たに開設しました。
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このページでは、平成11年度問題24への解答・解説・問題の評価を行う。
この種の問題では一般的に言って、受験者が正確な当該統計指標の定義を 知らないと解けない。
この問題の中で定義されている一致率は、 コーエンの一致係数 (Cohen's measure of agreement) である。当該一致係数の正確な定義は、
ここで、P_o は対応するカテゴリーの観測度数が一致する確率、
P_c は対応するカテゴリーが偶然に一致する確率
X(hat) = {Σ(f_ii) - [Σ(f_i*)(f_*i)/N]}/{N - [Σ(f_i*)(f_*i)/N]}
ここで、Σ(f_ii) は、各カテゴリーで両評定値が一致した度数の和、
また、 Σf_i* は、第 i 行のカテゴリーの度数の和(周辺度数)、
同様に、Σf_*i は、第 i 列のカテゴリーの度数の和(周辺度数)、
この問題では、偶然の一致率 P_c は分かっているもの(.35)として、 当該一致率の計算をさせるような質問になっているが、定義からは、P_o のみなら ず P_c も本来は標本から推定するべきものである。
いずれにせよ、ここでは、X の推定値計算のためには、P_c の推定値 [P_c(hat)] は既知としているので、P_o の推定値 [P_o(hat)] のみ計算すればよい。
P_o(hat) は、上式から、
であるので、P_o(hat)=Σ(f_ii)/N = (42 + 25 + 25)/100 = 92/100 = 0.92 と なる。したがって、X、正確にはその推定値 Xhat は、問題にある式を使うとすれば、
となり、正解は b ということになる。
なお、もし P_c、正確には P_c(hat) が与えられていない場合には、
を用いて標本からこれを計算する必要がある。実際、これを計算すると
となる。
問題24は、少し特殊な指標であり、初等統計の本には必ずしも紹介されて いないので、受験者は知らないと解けないであろう。