平成13年度問題31への解答・解説

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この頁は、平成14年10月1日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月4日に一部更新しました。

 このページでは、平成13年度問題31への解答・解説・問題の評価を行う。

1) 正解 a

2) 解説

 この種の問題では一般的に言って、受験者が間違いが確信できる問題から 消していくとよかろう。

  1. A. は、信頼性係数が測定値と真 値の相関係数の二乗として定義されるの で、間違い。
  2. B. は、項目分析が項目の困難度、識別力や等質性を検討するためのもので、一種の 内的整合性を検討するためのものと考えられ、正しい。
  3. C. については、まず CAT には2種類の意味がある。1つは、Computerized Adaptive Testing の略で、コンピュータを用いた適応型の検査システムで ある。もう1つは、投影法の1つである TAT (Thematic Apperception Test) の児童版である Children's Apperception Test の略である。この問題作成 者がどちらを意図してこの問題を作成したかわからないが、前者の場合も 後者の場合も共に、TAT の平行性テスト法による信頼性の推定を意図して 作られたものではないので、間違い。
  4. D. は、ロールシャッハテストでは、同質な内容をチェックするアイテムが 複数個あるとは考えにくいので、折半法による信頼性の検討は、出来ない と考えられ、正しい。

 これらの結果から、結局 B と D のみ正しいので、正解は a である。

 (註1)項目分析 (item analysis) とは、検査を完成させる途上で、予備調査を行い、得られた反応をもとに各下位検査の困難度(通過率により検討される)、識別力、等質性などを検討することである。識別力は、通常検査得点(総合点)と各下位項目との相関係数(点双列相関係数を用いることが多い)により検討する。等質性に関しては、クロンバックのアルファ係数を用いたり、多肢選択項目の場合には G-P 分析を用いて検討する。

 (註2)点双列相関係数 (point biserial coefficient of correlation) とは、連続変量と2値変数(離散変量で選択肢が2つの場合)の間の相関係数で、連続変量は正規分布に従う場合。これとよく似たものに、 双列相関係数 (coefficient of biserial correlation)、4分相関係数 (tetrachoric coefficient of correlation) があるので、注意が必要。双列相関係数は、2変量とも正規分布し、1変量は分割点の上下の値(2値)しか得られていない場合、4分相関係数は、同じく2変量とも正規分布するが、2変数とも2値でしか得られていない場合に用いられる。

 (註3)適応型テスト (adaptive testing) とは、被検査者の検査に対する反応に応じて、検査項目を逐次的に出題するコンピュータを利用した検査(テスト)をいう。より詳しくは、例えば心理学辞典(有斐閣)を参考のこと。

3) 問題31の評価

 問題31は、臨床心理士試験ではお馴染みの、信頼性に関するものである。 ただし、従来のものに比べ、多少工夫が見られる。

参考文献

  1. 池田央 (1973). 心理学研究法8 - テスト II 東京大学出版会
  2. 中島義明他編集 (1999). 心理学辞典 有斐閣

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