平成１６年度問題１９への解答・解説

この頁は、平成１８年７月１２日に新たに開設しました。
このページは、令和２年５月４日に一部更新しました。

　このページでは、平成１６年度問題１９への解答・解説・問題の評価を行う。

1) 正解 e

2) 解説

• A. は、オペラント心理学ではオペラント行動を扱い、レスポンデント行動 のように学習される反応が生得的反応（例えば、口腔内に酸（特定の誘発刺激） が入る -> 唾液反応のような）を利用するわけではなく、ラットのレバー押し 反応のような自発的反応に強化子が随伴することにより学習される行動を扱う ことから、個体ごとの反応の図示が原則となるので、正しい。
• B. は、シングルケース （一事例）デザインでは、通常、まさに一事例のみを 対象に、検査や観測を一定の期間継続的に行い、その結果から患者に対して 施した操作（治療介入）の効果の有無を検討するので、間違い。

  　ただし、もちろん一事例データなので、要因の効果の検討に関しては幾つか の限界は免れないことにも注意が必要である。

• C. は、A-B-A デザインの目的が、B での治療介入の後、治療をやめることに よる除去の効果（治療をやめることにより、標的行動が悪化するとすれば、 そのことは、治療介入の効果が確認ないしは確証できたとする）を確かめる ためのもので、ここでいうような治療介入の効果の再現性を確かめるための ものではないので、間違い。
• D. は、レスポンデント心理学ではレスポンデント行動を扱い、必ずしも図の ような A-B-A デザインにおける第３段階は必要がないので、間違い。

　上記より、正解（最も適切でないもの）は e. である。

1. 中島義明他編集 (2005). マルチラテラル心理学　有斐閣