平成18年度問題32への解答・解説
この頁は、平成20年4月11日に新たに開設しました。
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1) 正解 b
2) 解説
- a. は、信頼性と関係がある。なぜならば、検査の信頼性の1つの指標であるクロンバックのα係数は、内的整合性(の)信頼性係数とも呼ばれ、検査の内的整合性 (internal consistency) を最大にすることが知られているからである (Load, 1958)。なお、内的整合性の概念そのものは、多分ガットマン (Guttman, 1941) の内的整合性の原理 (principle of internal consistency) に遡り、したがって、検査の信頼性よりも広い概念と思われる。双対尺度法や対応分析は、まさにこの原理に基づいて項目や被験者を数量化する方法として知られている。一方、クロンバックのα係数は、Cronbach (1951) による。
- b. は、信頼性と関係がない。構成概念は、科学のいろいろな分野で用いられる概念の一種である。
- c. は、信頼性を測る代表的な指標の一つなので、信頼性と関係がある。
- d. は、コーエンの一致係数 (Cohen, 1960) とも呼ばれ、もともと同一の質問紙による繰り返し調査とか、同一対象に対する2人の評定者の評定の一致度を測るためのものであるが、検査に対する反応の安定度を測る指標としても使えるので、信頼性と関係があると言えよう。
- e.は、a. で述べたように、信頼性と関係がある。
上記より、正解(最も適切でないもの)は b. である。
参考文献
- Cohen, J. (1960). A coefficient of agreement for nominal scales.
Educational and Psychological Measurement, 20, 37-46.
- Cronbach, L. J. (1951). Coefficient alpha and the internal structure of
tests. Psychometrika, 16, 297-334.
- Guttman, L. (1941). The quantification of a class of attributes: a theory
and method of scale construction. In the Committee on Social Adjustment
(ed.), The Prediction of Personal Adjustment (pp.319-348). New
York: Social Science Research Council.
- Load, F. M. (1958). Some relations between Guttman's principal components
of scale analysis and other psychometric theory. Psychometrik,
23, 291-296.
- 中島義明他編集 (2005). マルチラテラル心理学 有斐閣