平成5年度問題40への解答・解説

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この頁は、平成14年9月10日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月2日に一部更新しました。

 このページでは、平成5年度問題40への解答・解説・問題の評価を行う。

1) 正解 e

2) 解説

 この種の試験問題では、受験者の正確な知識が要求される。

 この問題では、「Q 分類」という因子分析の古典的な手法の1つについての ひととおりの知識がないと、正解はできないであろう。

 Q 分類とは、Cattell (1952) により論じられたいわゆる Q 技法(Q テクニック) における必須の手続きである。彼によれば、われわれが手にする測定値はすべて、 3つの相(人、時、変数)から成り立っている。例えば、心理検査の得点を考えて みると、測定値は検査項目(変数)をある時点(時)で一群の被験者(人)に対して 実施した結果である。この3相データのどの部分に焦点をあてた分析をするかにより、 6つの技法を考えることが可能となる。例えば、変数と人の2相に焦点を当てれば、 変数間の相関を分析する R 技法と、人間間の相関を分析する Q 技法を考えることが できる。R 技法は、われわれが通常 「因子分析」 と読んでいる標準的な方法である。

 Q 技法では、人と人との相関を計算するために、項目への得点が個人の平均の まわりに分布し、いずれの個人の平均値も等しくなることが要請される。これを 保証する手続きを Q 分類という。そのためには、各被験者に対して項目を各段階 に入る度数が準正規分布に従うように強制分類させる。段階は、例えば60項目 なら9段階、70から80項目の場合には11段階、90項目以上では13段階 というのが目安である。また、上記のように準正規分布を仮定するので、各評定 段階に入る項目数はあらかじめ固定される。詳細については、例えば清水・斉藤 (1970) を参照のこと。

 ここまでの知識で、問題40の正解は e であることがわかるであろう。

3) 問題40の評価

 問題40に正解するには、Q 分類の入門的な知識を要する。

引用文献

  1. Cattell, R. B. (1952). The three basic factor-analytic research design: their interpretation and derivatives. Psychological Bulletin, 49, 499-520.
  2. 清水利信・斉藤耕二 (1970). 因子分析法 日本文化科学社

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