平成19年度問題43への解答・解説
この頁は、平成21年5月6日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月5日に一部更新しました。
このページでは、平成19年度問題43への解答・解説・問題の評価を行う。
1) 正解 d
2) 解説
この問題は、信頼性係数について十分な知識があれば、最初の2つの選択肢 A, B への
正しい選択肢により、正解がわかる。
- A については、Spearman-Brown の信頼性係数は折半法による信頼性の公式であり、
検査は2件法データに限定されないのに対して、Kuder-Richardson の公式(第20、
及び第21公式)はデータの内的整合性による信頼性の推定公式であり、2件法データ
に限定されるので、Kuder-Richardson が正しい選択肢である。
- B については、検査を一度だけ実施して求める信頼性係数の方法としては、折半法
と平行検査法が知られているので、ここでは折半法が正しい選択肢である。
- C については、
Cohen のκ(カッパ)係数
は一致性係数の1つで信頼性係数ではない。一方、Cronback のα係数は、内的整合性を
最大にするような信頼性係数の推定値であり、正しい選択は「内的」である。
なお、コーエンのκ係数(もしくは、一致係数)に関する問題は、臨床心理士試験問題
としては、
平成11年の問題24
で、既に一度出題されているので、見ておくとよい。
- D については、C の理由から、Cronback のα係数が正しい選択肢である。
3) 問題43の評価
この問題の最初の A に該当する Kuder-Richardson の信頼性係数は、Cronbach のα係数
の特別な場合であり、2つとも内的整合性の指標である点が、この問題の文章全体での重複
事項であり、問題としてわかりにくくしているきらいがある。
引用文献
- Cronback, L. J. (1951). Coefficient alpha and the internal structure
of tests. Psychometrika, 16, 297-334.
- Kuder, G. F. & Richardson, M. W. (1937). The theory of the estimation
of test reliability. Psychometrika, 2, 151-160.