平成4年度問題7への解答・解説
この頁は、平成14年9月7日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月2日に一部更新しました。
このページでは、平成4年度問題7への解答・解説・問題の評価を行う。
1) 正解 e
2) 解説
この種の試験問題では、たくさんの問題があり、時間のことを考えるとすべての
選択肢をまんべんに読んでから解答を出すという戦略は、必ずしもベストではなか
ろう。1つのやり方としては、受験者本人が選択肢の中で間違いを確信できる選択
肢を消していく方法が効率的であろう。
まず、解答の選択肢の議論が、性差・年齢差、及び
交互作用であるので、これ
ら2つのテスト結果の平均値のみからみたこれらに関する明らかな特徴を表から
読みとると、
- A テストの平均は、男女とも90点で、差がない。
- A テストでは、4つの平均値は平行でない(交互作用の可能性有り)のに
対して、B テストでは、それらは平行である(交互作用の可能性なし)。
これらより、
- A テストでは、男女の平均は共に90点であるので、A テストの男女差を
有意とする選択肢 a は外す。
- B テストの交互作用、を含む選択肢 c 及び d は外す。
これで、5つのうち選択肢 a, c, d は外れるので、残りの選択肢 b か e が
正解と考えられる。両者の違いは、2つ目の内容であり、b. の B テストの
年齢差、と e. の B テストの男女差・年齢差、のどちらが、この問題の情報
の範囲でより適切か、ということになる。B テストの平均値からは、e の可能性
はある(男女差、年齢差とも、平均値の範囲ではゼロでない)ので、e を正解
とすることになる。
3) 問題7の評価
問題7は、問題として十分適切とは思えない。それらは、以下の点である:
- 現実の事態では、2つの異なるテストは、単に漫然と被験者に施されるので
はなく、何らかの比較を目的とするであろう。そうだとすれば、この問題の
ように、両テストを別々に分析することは適切ではない。
- さらに、テストの違いも要因と考えると、この問題での設定は、テストを
被験者内要因(反復測定要因)、性別及び年齢を被験者間要因(独立測度
要因)とする、反復測定分割区画型デザインデータであり、
反復測定デザインデータの分散分析(多
変量分散分析も含め)を行うのが適切であろう。
- 統計学を少し勉強すると、条件間の有意差というものは平均値のみで見る
ことは(推測統計学では)しないことがわかるが、この種の問題は、この点
をあやうくする危険性がある。