平成10年度問題10への解答・解説

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この頁は、平成14年9月25日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月3日に一部更新しました。

 このページでは、平成10年度問題10への解答・解説・問題の評価を行う。

1) 正解 d

2) 解説

 この種の問題では一般的に言って、受験者が確信の持てる選択肢への正誤の 情報から解答を絞るのがよい。ここでは、しかしながら順に簡単に解説する。 この問題は、問題中の解析方法の基礎を知っておれば、最初の A 及び B への 解答から最終的な正解がわかる。

  1. A の分析、すなわち、 因子分析、数 量化理論 II 類、重 回帰分析分散 分析のうち、従属変数が存在し、かつ質的で、さらに独立変数が質的 な場合の方法は、数量化理論 II 類しかないので、正解は b. か d. しかない。
  2. B の分析、すなわち、判別分析、主成分分析、分散分析、因子分析、のうち、 従属変数が存在し質的で、かつ独立変数が量的な方法は、判別分析しかない ので、これで正解は d. が決まる。

 なお、上記因子分析、重回帰分析、分散分析以外の方法について、簡単に まとめると次の通りである:

 数量化理論 I 類は、独立変数が質的変数の 場合の重回帰分析に相当するもので、従属変数は量的変数、独立変数は質的 変数の場合の多変量データ解析の1つの方法である(例えば、林・駒澤、 1982) 。
 数量化理論 II 類は、独立変数が質的変数の 場合の判別分析に相当するもので、従属変数、独立変数とも質的変数の場合の 多変量データ解析の1つの方法である(上記、林・駒澤)。
 判別分析は、従属変数が質的変数、独立変 数は量的変数の場合の多変量解析の1つの方法である(例えば、奥野・久米・ 芳賀・吉澤、1972) 。
 主成分分析は、因子分析、クラスター分析 らと共に従属変数の存在しない場合の方法であり、因子分析で各項目の独自性 がゼロとした場合に相当する。因子分析と主成分分析の違いについては、最近 ホットな議論が交わされている(村上・狩野、2002)。
 クラスター分析は、因子分析、主成分分析 らと共に従属変数の存在しない場合の方法であり、因子分析や主成分分析が 項目や変数間の共分散もしくは相関係数の情報に基づいて項目や被験者を 分類するのに対して、項目や変数間の近さの指標が両分析法に比べて自由度 の大きい方法である。

3) 問題10の評価

 この問題は、伝統的な多変量解析の方法の、従属変数・独立変数の性質に関する 知識があれば、簡単な問題である。

引用文献

  1. 林知己夫・駒澤勉 (1982). 数量化理論とデータ処理 朝倉書店
  2. 村上隆・狩野裕 (2002). 徹底討論「主成分分析 versus 因子分析」 日本行動計量学会第30回大会発表論文抄録集 280-289. 多摩大学
  3. 奥野忠一・久米均・芳賀敏郎・吉澤正(1972). 多変量解析法 日科技連

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