平成11年度問題23への解答・解説

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この頁は、平成14年9月28日に新たに開設しました。
この頁は、令和2年5月3日に一部更新しました。

 このページでは、平成11年度問題23への解答・解説・問題の評価を行う。

1) 正解 d

2) 解説

 この種の問題では一般的に言って、受験者が確信の持てる選択肢への正誤の 情報から解答を絞るのがよい。ここでは、しかしながら順に簡単に解説する。

  1. A. は、ピアソンの(偏差 積率)相関係数があくまでも間隔尺度レベル以上のデータに対する相関 関係の指標であり、順位尺度の場合には(各種)順位相関係数を計算するのが 正しいので、間違い。
  2. B. は、例えば説明力の観点から見ても、前者の差は 0.7 の二乗 - 0.3 の二乗 すなわち0.4 の説明力の差に対して、後者の差は 1.0 の二乗 - 0.6 の二乗 すなわち 0.64 の差があり、等しくないので、間違い。
  3. C. は 、決定係数の定義であり、2変量の場合相関係数の二乗であるので、 正しい。
  4. D. は、相関係数の強さが標本数に依存することや、一般の統計量と同じく   データの性質や研究の目的により判断されるべきであるので、一律に一定の 基準を適用すべきではないので、間違い。

 決定係数 (coefficient of determination) は、もともと 重回帰分析において、基準変数 (criterion variable, あるいは従属変数 dependent variable) の全変動のうち、説明ないし予測変数 (predictor variables, あるいは独立変数 independent variables) により説明できる割合であり、重相関係数の2乗に等しい。

 一方、上記、臨床心理士試験問題の問題における決定係数の説明では、「他方の変数」と言う場合の変数数が1つなのか複数なのかわかりにくいが、一般的には複数で構わない。また、重相関係数は千野の上記ホームページの (2.32) 式にもあるように、基準変数(の実測値)と(説明変数の重みつき合計点による)予測値との相関係数にもあたるので、決定係数は「積率相関係数の2乗」ともいえる。ただし、ここでの相関係数は、あくまでも実測値と予測値との相関係数であり、一般の場合の相関係数ではないことに注意が必要である。もちろん、説明変数が1つの場合は両者は一致する。

3) 問題23の評価

 問題23は、記述 B が少し注意を要する以外は入門レベルの標準的な問題と 言えよう。

引用文献

  1. 岩原信九郎 (1999). 教育と心理のための推計学 日本文化科学社

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