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ここでは、2要因反復測定 RBF-p デザイン ANOVA データの SAS、及び STATISTICA による分散分析を以下の4つのセクションに分けて示す:
2要因反復測定 RBF-pq デザインの ANOVA 分析 用プログラムの例 |
この節では、まず Rouanet and R\'epine (1970) の Table 1 のデータを用いて 2要因反復測定 RBF-pq デザインの ANOVA 分析を行うためのプログラムを示す。 1.5.5 節と同様、ここでも glm プロシジャの repeated 文を用いた ANOVA 分析 の方法と、(指定の仕方によってはそこに出力される MANOVA 結果と同等な結果を得る ための)manova 文を用いる方法の双方を示す。
ただし、既に指摘したように2要因反復測定 RBF-pq デザインデータの場合 には ANOVA 分析の場合、1要因の場合と異なり、まず 大局的球形仮説の検討 が必要 なので、 2要因を込みにしての1要因 RBF デザインデータとみなしての ANOVA 分析を 行い、つぎに2要因反復測定 RBF-pq デザインデータとして、局所的球形仮説の 検討が必要となることに注意せよ(現状では、SAS の repeated 文で2要因反 復測定デザインのみを指定しても、大局的球形仮説の検定は行ってくれない ことに注意!)。
プログラムは、以下に示すように repeated 文の出力内容の検討も兼ねたものも 含まれるので、11項から成る。そこで、もし単に repeated 文を用いて2要因 反復測定デザインデータの ANOVA 分析を、大局的球形仮説の検討も含めて行うには、 これらのうち最小限 (1)、(2-1) 及び (2-3) の項 を実行すればよい:
*---------------------------------------------------------------------* | March 6, 1999 | | sas program--rbf4-2rl.manrep | | An example of sasprograms for glm procedure, especially a type | | of the randomized block factorial design (RBF-IJ) with all repeat- | | ed measures. The data is that of Table 1. of Rouanet and Lepine | | (1970). | | | *---------------------------------------------------------------------*; |
ここでは、冒頭のコメントを記述している。
options ps=60 ls=80; /* (1) data input */ data role1970; input no 1. (A1_B1 A1_B2 A2_B1 A2_B2 A3_B1 A3_B2 A4_B1 A4_B2) (4.); label no='sample number' A1_B1='combination of A1 and B1' A1_B2='combination of A1 and B2' A2_B1='combination of A2 and B1' A2_B2='combination of A2 and B2' A3_B1='combination of A3 and B1' A3_B2='combination of A3 and B2' A4_B1='combination of A4 and B1' A4_B2='combination of A4 and B2'; cards; 1 265 245 260 216 286 247 291 255 2 263 242 274 256 222 195 228 247 3 241 207 217 199 213 171 246 211 4 223 250 224 223 200 193 208 217 5 254 242 268 244 266 236 265 262 6 222 170 197 172 203 183 211 206 7 254 244 259 229 257 266 236 239 8 280 292 284 257 247 245 248 236 9 276 214 230 204 207 200 219 191 ; |
この項では、Rouanet & Lepine (1970) にある2要因反復測定 RBF-pq デザイン データを SAS セッションに入力させるためのプログラムを指示している。このデータ では、p=4 で q=2 のケースであり、データは label 文に定義したような8条件に 対する9名の Ss の反応である。
/* (2-1) repeated measures RB-8 ANOVA for RBF-4.2 data using proc glm repeated statement, which tests a global sphericity hypothesis */ title 'glm/repeated for a repeated measure RB-8 design'; proc glm data=role1970; model A1_B1 A1_B2 A2_B1 A2_B2 A3_B1 A3_B2 A4_B1 A4_B2 = / nouni; repeated treat 8 contrast(1)/ summary printe printh; run; |
この項では、当該データのデザインを(もともとは、2要因反復測定 ANOVA デザ インであるが)1要因反復測定 RB デザインと見なして、大局的球形仮説の成否を glm プロシジャの repeated 文を用いて検討するためのものである。この分析の結 果、もし大局的球形仮説が採択されるならば、われわれはこの2要因反復測定 デザインデータは加算的モデルの方が非加算的モデルよりも適合すると見て、SAS による以下の非加算的モデルによる分析はやめて、 1.6.4 節 で示したような加算的モデルによる分析をすべきであろう。
/* (2-2) a manova for a repeated RBF-4.2 data using proc glm manova statement, which is equivalent to that of (2-1) */ title 'glm/manova for a repeated measure RB-I design'; proc glm data=role1970; model A1_B1 A1_B2 A2_B1 A2_B2 A3_B1 A3_B2 A4_B1 A4_B2 = / nouni; manova h=intercept m=(-1 1 0 0 0 0 0 0, -1 0 1 0 0 0 0 0, -1 0 0 1 0 0 0 0, -1 0 0 0 1 0 0 0, -1 0 0 0 0 1 0 0, -1 0 0 0 0 0 1 0, -1 0 0 0 0 0 0 1) prefix=treat/ summary printe; run; |
この項では、(2-1) の glm プロシジャの repeated 文による ANOVA の出力結果の
中に(repeated 文のオプションとして nom としないと)出力される、主効果や交互
作用の MANOVA 方式(正確には GMANOVA)による検定結果を repeated 文を使わずに
(manova 文を用いて)出力するためのプログラムを示している。
このプログラムの manova 文の m= オプションは、反復測定要因の水準間の対比
の係数を(各行に)記述するためのものであり、1.6.3 節の (1.184) 式で定義した
M 行列に対応する。ただし、SAS では m=
に行列を指定するとき、(1.184) 式の M 行列の行と列を転置したもの(転置行列)
を充てるので、注意されたい。
いずれにせよ、(2-1) の項の repeated 文の変換キーワード (transformation
keyword) を contrast (1) と指定したことは、上に示した manova 文の m= オプシ
ョンでの指定内容と同等である。
最後に、この方式では球形検定は為されないので、その出力もない。したがって、
この項は (2-1) の項の大局的球形仮説の検定にとっては不要な項である。
/* (2-3) repeated measures RBF-4.2 ANOVA using proc glm repeated statement, which tests the interaction A*B as well as the two main effects, A, and B. Local sphericity hypotheses about A, B, and A*B are also tested. */ title 'glm/repeated for a repeated measure RBF-IJ design'; proc glm data=role1970; model A1_B1 A1_B2 A2_B1 A2_B2 A3_B1 A3_B2 A4_B1 A4_B2 = / nouni; repeated treat_A 4 contrast(1), treat_B 2 contrast(1) / summary printe printh; output out=temp residual=resid; run; |
この項では、もとのデータをそのデザイン通りの2要因反復測定デザインデータ として、repeated 文を用いて分析するためのものである。この場合の repeated 文 を見ればわかるように、反復測定要因が2つ以上ある場合には、このように repeated 文に反復測定要因名、その水準数、変換キーワードを、コンマで区切って順に並べ ればよい。この項の最後では、後の誤差解析のためモデルの誤差推定値を SAS の 一時ファイル temp に resid なる変数名で掃き出している。
/* (2-4) a manova for a repeated measures RBF-4.2 data using proc glm manova statement, which tests the interaction A*B */ title 'glm/manova for a repeated measure RBF-IJ interaction effect'; proc glm data=role1970; model A1_B1 A1_B2 A2_B1 A2_B2 A3_B1 A3_B2 A4_B1 A4_B2 = / nouni; manova h=intercept m=(1 -1 -1 1 0 0 0 0, 1 -1 0 0 -1 1 0 0, 1 -1 0 0 0 0 -1 1) mnames=ca1_cb ca2_cb ca3_cb/ summary printe; run; |
この項から (2-5) 及び (2-6) の項までは、(2-3) の項での repeated 文を用い
ての当該2要因反復測定デザインデータの ANOVA 分析により付随的に出力される
MANOVA 方式(正確には、GMANOVA)による結果と同等な結果を、repeated 文では
なく manova 文により出力させるためのものである。
このやり方は、(2-2) の項で示したものと基本的には同じであるが、m= オプション
での対比の係数行列の部分がそれぞれ異なるので注意されたい。この部分の指定を
行うには、1.6.5 節で述べた複数のM行列の
クロネッカー積を計算する必要がある。もちろん、ここでの対比行列は(反復)
(2-3) の項で指定した要因 A と要因 B に関する2つの contrast (1) で指定される
対比行列の(この順で)クロネッカー積を指定する必要があることに注意が必要で
ある。
この項では、manova 文を用いて反復測定2要因の交互作用の MANOVA 方式
(GMANOVA)による検定を行わせる。
/* (2-5) a manova for a repeated measures RBF-4.2 data using proc glm manova statement, which tests the main effect A */ title 'glm/manova for a repeated measure RBF-IJ main A effect'; proc glm data=role1970; model A1_B1 A1_B2 A2_B1 A2_B2 A3_B1 A3_B2 A4_B1 A4_B2 = / nouni; manova h=intercept m=(-1 -1 1 1 0 0 0 0, -1 -1 0 0 1 1 0 0, -1 -1 0 0 0 0 1 1) mnames=ca1_cbu ca2_cbu ca3_cbu/ summary printe; run; |
この項では、manova 文を用いて反復測定2要因のうちの最初の要因 A の MANOVA 方式(GMANOVA)による検定を行わせる。この場合、要因 A の対比行列 は (2-3) の項の repeated 文における要因 A の対比 で指定した contrast(1) に 対応するものである。一方、要因 B の対比行列は (1 1) とする。すなわち、要因 B の方はいわばつぶすことに等しい。これらのクロネッカー積が m= で指定する最終 的な対比行列である。
/* (2-6) a manova for a repeated measures RBF-4.2 data using proc glm manova statement, which tests the main effect B */ title 'glm/manova for a repeated measure RBF-IJ main B effect'; proc glm data=role1970; model A1_B1 A1_B2 A2_B1 A2_B2 A3_B1 A3_B2 A4_B1 A4_B2 = / nouni; manova h=intercept m=(-1 1 -1 1 -1 1 -1 1) mnames=cau_cb1/ summary printe; run; |
この項では、manova 文を用いて反復測定2要因のうちの最初の要因 B の MANOVA 方式(GMANOVA)による検定を行わせる。この場合、要因 A の対比行列 は (1 1 1 1) とする。すなわち、要因 A の4水準はいわばつぶすことになる。 一方、要因 B の対比行列は (-1 1) である。これらの(この順での)クロネッカー 積が、上記の最終的な m= の項の対比行列である。
/* (2-7) compute and plot means of repeated measures */ options ps=40 ls=80; title 'plot the means for each cell'; proc summary data=role1970 print n mean std; var A1_B1 A2_B1 A3_B1 A4_B1 A1_B2 A2_B2 A3_B2 A4_B2; output out=new mean=a1b1 a2b1 a3b1 a4b1 a1b2 a2b2 a3b2 a4b2; run; data xyplot; set new; array av(2,4) a1b1 a2b1 a3b1 a4b1 a1b2 a2b2 a3b2 a4b2; do b=1 to 2; do a=1 to 4; aver=av{b,a}; output; end; end; drop a1b1 a2b1 a3b1 a4b1 a1b2 a2b2 a3b2 a4b2; run; options ps=40 ls=80; proc plot data=xyplot; plot aver*a=b; run; |
この項では、2要因反復測定デザインデータのすべてのセル(この例では合計8) における平均値等を summary プロシジャで求め、最終的には plot プロシジャで 描かせるためのプログラムを示す。
/* (3-1) posterior analysis (1): histogram plot of error estimates */ title 'histogram of the error estimates '; proc chart data=temp; vbar resid; run; |
/* (3-2) posterior analysis (2): test for normality of error estimates */ options ps=60 ls=80; title 'test for global normality of the dependent variable'; proc univariate data=temp normal; var resid; run; |
rbf4-2rl.sas |
うえのプログラムを実行すると、以下のような出力結果が得られる:
この項は、プログラムの (2-1) の項の repeated 文を用いた glm プロシジャの
出力のうち、反復測定 RB-8 デザインのサンプル数の情報から始まり、対比7変数
間誤差 SS&CP 行列までの一連の出力結果から成る。
(2-1) の項の目的は、2要因反復測定デザインデータの大局的球形仮説の成否(
これは加算的モデルの成否でもある)を検討することであるので、これらは読み飛
ばし、つぎの球形仮説の検定結果のみを見ればよい。
Test for Sphericity: Mauchly's Criterion = 2.2894E-6 Chisquare Approximation = 70.811194 with 27 df Prob > Chisquare = 0.0000 Applied to Orthogonal Components: Test for Sphericity: Mauchly's Criterion = 0.000062 Chisquare Approximation = 52.820381 with 27 df Prob > Chisquare = 0.0021 |
この項では、もとの RBF-4.2 ANOVA デザインデータを RB-8 ANOVA デザインと
見なして、当該データが大局的球形仮説を満たすかどうかを検定している。上の
出力結果(2種類の Mauchly の球形検定)のうち、1要因反復測定デザインデータの
場合と同様、分散分析の文脈では後半の "Applied to Orthogonal Components:" の
結果を見る必要があるが、その結果からは、p-値が 0.0021 なので、このデータの
場合大局的球形仮説は1パーセント以上の高い水準で棄却されることがわか
る。
言い換えれば、このデータでは加算的モデルは当てはまらないものと見な
せる。したがって、この場合われわれは
第2章の大局的・局所的球形仮説
とモデルについての議論に従い、データを非加算的モデルに従うものと見なし、
(2-3) の項で行う repeated 文により、2要因の主効果及び交互作用の有無の検
定を、それぞれの局所的球形仮説の検定結果を見ながら適切に行うことになる。
この項では、データをRB-8 デザインデータと見なしての大局的球形仮説の検定 結果につづき、(2-1) の項の glm プロシジャによる GMANOVA、ANOVA 分析と対比検定 などの一連の結果までを出力する。しかし、(2-1) の項では大局的球形仮説の成否 のみに関心があるので、これらの後続の結果は読み飛ばせばよい。
この項は、プログラムの中の (2-2) の項の出力結果を示し、うえの repeated 文による指示により出力される結果のうち、MANOVA 方式の結果と同等の結果を得 るためのものである。これらは、repeated 文により指示される内容の理解には役 立つが、それ以外には不要なものであるので、通常は読み飛ばすと良い。
この項は、(2-3) の項のプログラムの出力結果のうち、サンプル数の情報から 始まり、要因 A の対比3変数に関する偏相関行列までを示しており、通常つぎの 要因 A に関する局所的球形仮説の検定結果までは読み飛ばして良い。
Test for Sphericity: Mauchly's Criterion = 0.268342 Chisquare Approximation = 8.8430351 with 5 df Prob > Chisquare = 0.1155 Applied to Orthogonal Components: Test for Sphericity: Mauchly's Criterion = 0.4388835 Chisquare Approximation = 5.5358923 with 5 df Prob > Chisquare = 0.3540 |
この項での要因 A に関する局所的球形仮説の検定結果2種類のうち、後者の直交
要素に対する結果の p-値 (0.3540) より、要因 A については局所的球形仮説は満
たされているとみれるので、大局
的球形仮説・局所的球形仮説に関する検定方式に従い、この場合要因 A につい
ては後に出力される反復測定デザイン ANOVA の出力結果の項で、自由度調整なしの
F-検定を行う必要がある。
上の結果からわかるように、2要因反復測定 RBF_p.q デザインでは、たとえ大
局的球形仮説は成り立たなくても局所的球形仮説は成り立つ場合もあるので、注
意を要する。
Manova Test Criteria and Exact F Statistics for the Hypothesis of no TREAT_A Effect H = Type III SS&CP Matrix for TREAT_A E = Error SS&CP Matrix S=1 M=0.5 N=2 Statistic Value F Num DF Den DF Pr > F Wilks' Lambda 0.42305763 2.7275 3 6 0.1366 Pillai's Trace 0.57694237 2.7275 3 6 0.1366 Hotelling-Lawley Trace 1.36374416 2.7275 3 6 0.1366 Roy's Greatest Root 1.36374416 2.7275 3 6 0.1366 E = Error SS&CP Matrix |
この項では、6. の項に引き続き、プログラム (2-3) の項の出力の一部として、
要因 A に対する GMANOVAによる SS&CP 行列と検定結果を示す。ここでは、前者の
要因 A に対する SS&CP 行列は省略した。
上の検定結果には、いわゆる Heck chart により検定を行う場合の3つのバラメー
タ(s, m, n)の値と、1.6.3 節に示した (G) MANOVA 検定における
4種類の基準が示されている。
3つのパラメータの定義は、1.6.3 節の Wilks の基準の説明のパラグラフを参照
されたい。このデータの場合、F-値はすべて一致していることがわかる。
この結果は、あくまでも MANOVA方式(正確には、GMANOVA)による反復測定
RBF_4.2 デザインの分析結果であり、反復測定RBF_4.2 デザインの ANOVA 分析とは
関係ないことに注意されたい。
反復測定デザインデータに対して、ANOVA と GMANOVA のいずれを適用すべきかに
ついては、第2章の 2.2 節を参照のこと。
このデータでは、サンプル数が9名と小さいので、GMANOVA は勧められない。
この項では、上記の要因 A の場合と同様、本来ならば要因 B に関する、対比 1変数の誤差 SS&CP 行列と対比変数に関する偏相関行列が出力される。しかし、 この要因の場合水準数が2なので対比変数は1つしかなく、その結果誤差 SS&CP 行列は誤差平方和に帰着される。これについては読み飛ばせばよいので、こ こでも省略した。また、対比変数に関する偏相関行列は計算できないので、出力さ れない。
この項では、通常は要因 B に関する局所的球形仮説の検定結果が出力されるが、 このデータの場合、要因 B の水準数が2であり球形仮説は常に満たされている ので、球形検定結果は出力されないことに注意されたい。
Manova Test Criteria and Exact F Statistics for the Hypothesis of no TREAT_B Effect H = Type III SS&CP Matrix for TREAT_B E = Error SS&CP Matrix S=1 M=-0.5 N=3 Statistic Value F Num DF Den DF Pr > F Wilks' Lambda 0.36186597 14.1076 1 8 0.0056 Pillai's Trace 0.63813403 14.1076 1 8 0.0056 Hotelling-Lawley Trace 1.76345409 14.1076 1 8 0.0056 Roy's Greatest Root 1.76345409 14.1076 1 8 0.0056 |
この項では、要因 A の場合と同様、要因 B についての(Type III) SS&CP 行列
(この場合、対比変数が1個なので、この行列は(要因の効果の)平方和(スカラー)
に帰着される)と GMANOVA による要因 B についての検定結果が示される。ここでは、
要因 A の場合と同様、要因についての SS&CP 行列は省略した。
上の結果からは、GMANOVA による要因 B の効果は、p-値より1パーセント水準で
統計的に有意と言える。ただし、サンプル数が9と小さいので、このデータでは利用
しないのが適切であろう。
この項では、全体的交互作用 A×B に関する、誤差 SS&CP 行列と偏相関行列が 示される。これらは、通常読み飛ばせばよいので、ここでも省略した。
Test for Sphericity: Mauchly's Criterion = 0.1397598 Chisquare Approximation = 13.228193 with 5 df Prob > Chisquare = 0.0213 Applied to Orthogonal Components: Test for Sphericity: Mauchly's Criterion = 0.6818245 Chisquare Approximation = 2.574497 with 5 df Prob > Chisquare = 0.7652 |
この項では、repeated 文を用いた全体的交互作用 A×B に関する(局所的)球形仮 説の検定結果を示している。上の結果の後半の結果から、交互作用に関しては局 所的球形仮説は満たされている、と見なせる。したがって、後続の ANOVA による検定結果のところでは、自由度を修正しない場合の F-検定により全体的交互 作用の有無の検定を行う必要がある。
Manova Test Criteria and Exact F Statistics for the Hypothesis of no TREAT_A*TREAT_B Effect H = Type III SS&CP Matrix for TREAT_A*TREAT_B E = Error SS&CP Matrix S=1 M=0.5 N=2 Statistic Value F Num DF Den DF Pr > F Wilks' Lambda 0.56081196 1.5663 3 6 0.2925 Pillai's Trace 0.43918804 1.5663 3 6 0.2925 Hotelling-Lawley Trace 0.78312888 1.5663 3 6 0.2925 Roy's Greatest Root 0.78312888 1.5663 3 6 0.2925 |
この項では、全体的交互作用 A×B に対する GMANOVA による SS&CP 行列と検定 結果が示される。ここでは、前者の SS&CP 行列は省略した。GMANOVA の結果から は、全体的交互作用 A×B の効果は統計的に有意ではないことがわかる。もっとも、 このデータのサンプル数は9と小さいので GMANOVA は不適切であり、この結果は読 み飛ばした方がよい。
glm/repeated for a repeated measure RBF-IJ design 183 General Linear Models Procedure Repeated Measures Analysis of Variance Univariate Tests of Hypotheses for Within Subject Effects Source: TREAT_A Adj Pr > F DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F G - G H - F 3 3345.83333333 1115.27777778 2.37 0.0959 0.1263 0.1059 Source: Error(TREAT_A) DF Type III SS Mean Square 24 11306.91666667 471.12152778 Greenhouse-Geisser Epsilon = 0.6612 Huynh-Feldt Epsilon = 0.8783 Source: TREAT_B Adj Pr > F DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F G - G H - F 1 5653.38888889 5653.38888889 14.11 0.0056 . . Source: Error(TREAT_B) DF Type III SS Mean Square 8 3205.86111111 400.73263889 Source: TREAT_A*TREAT_B Adj Pr > F DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F G - G H - F 3 453.38888889 151.12962963 1.11 0.3660 0.3603 0.3660 Source: Error(TREAT_A*TREAT_B) DF Type III SS Mean Square 24 3279.36111111 136.64004630 Greenhouse-Geisser Epsilon = 0.7926 Huynh-Feldt Epsilon = 1.1503 |
この項では、プログラム (2-3) の項の repeated 文による ANOVA の主効果や全体
的交互作用の効果についての検定結果が上のようにまとめて示される。ここで、
このデータの場合、3つの局所的球形仮説はすべて満たされているので、上の検定では
要因 A、要因 B、交互作用のいずれについても、自由度を修正しない F による検定
を行う必要がある。ここで、SAS では水準数が2の場合の検定に関しては、うえの
要因 B の出力のように、最初から自由度修正後の p-値については計算をしていない
ことを示すピリオドが表示される。
この方針で上の出力結果を見ると、要因 A は傾向程度、要因 B は1パーセント
水準で統計的に有意であるが、交互作用については有意でない、と言える。
いずれにせよ、このデータから、大局的球形仮説は棄却されても、局所的球形仮
説はいずれも採択される場合が存在することがわかる。
ここで、もし大局的球形仮説が満たされておらず、さらに局所的球形仮説の幾つ
かも満たされていないようなデータの場合には、もちろん上の出力結果のうちの
自由度を修正した (SAS では、Adj Pr > F と表示された部分)p-値を見て、当該
要因の主効果なり全体的交互作用の検定を行う必要がある。
最後に、上の結果から明らかなように、それぞれの要因の効果の検定結果の下に、
自由度をそれらのいずれかにより修正するための
G-G Epsilon と H-F Epsilon
の推定値が示されていることに注意されたい。もっとも、このデータでは要因 B の
水準数は2なので(局所的)球形仮説は自動的に満たされ、したがって SAS では
これに関するイプシロンの推定値は示されないことにも注意されたい。
G-G Epsilon と H-F Epsilon の違いや、両者の問題点についても上記第2章
2.1.2 節の Epsilon の項
を参照されたい。
ここで、これまでの出力結果から得られた結果をまとめると、つぎのように書け よう:
反応時間に関する2つの要因(1つは4水準から成る状況要
因 S で、他方は2水準からなるフォアピリオド要因 F)の効果の有無を検討する
ために、9名の被験者の各々に対して2要因のすべての組み合わせ8水準での反応
時間を測定した。すなわち、両要因共被験者内要因(あるいは反復測定要因)であ
るので、このデータは、2要因反復測定乱塊要因デザイン ANOVA データといえる。
この種のデータは、乱塊要因デザインデータなので、一般に、
2つの主効果 S 及び F と、両者の交互作用 S*F を検討できるが、共に被験者内要
因なので、これらの効果の検定のための統計量(F 統計量)は、データによっては歪
む可能性がある。これに対処するための1つの方法は、モクリーの球形検定によりあ
らかじめその可能性の有無を検定することである。
もう1つの問題は、2要因乱塊要因デザインでは、データに対して加算的モデルが
より当てはまりがよいか、それとも非加算的モデルがよいかの検討が重要である。こ
れに対処するには、2要因のデータの分析に先立ち、2要因をまとめて1要因デザ
インデータと見なしての大局的球形仮説の検定を行なう必要がある。これが棄却され
たならば、われわれは非加算的モデルによる分析をし、逆にこれが採択されたならば
加算的モデルによる分析を行なうのが適切である。
そこで、まず2要因データを1要因8水準データと見なして、大局的球形仮説の
検定を行なったところ、球形仮説は1パーセント以上の高い水準で棄却された(χ2
(ν=27)=52.82, p<0.0021)(上記ウエブ出力結果2の項参照)。この結果は、この
データの場合、2要因反復測定デザインデータの分析には非加算的モデルがより適切
であることを示している。
そこで、つぎに同一データをもとの2要因反復測定デザインデータとみなして、非
加算的モデルで分析した。主効果や交互作用の検定に先立ち、それらの各々の F 統計
量がゆがまないかどうかを検討したところ、まず要因 S については、局所的球形仮説
は採択された(χ2(ν=5)=5.54, p>0.3540)(上記ウエブ出力結果6の項参照)。こ
のことは、要因 S に対応する F 統計量はゆがまないことを意味するので、この要因
の主効果の検定は、自由度修正なしの通常の p 値を見る必要がある。
つぎに、要因 F についての局所的球形仮説の検定は、たまたまこの要因が2水準か
ら成り局所的球形仮説は自動的に満たされるので、不要である。(実際、SAS でもこ
の要因に対する局所的球形仮説の検定結果は出力しない)。
最後の要因 S と F の交互作用については、局所的球形仮説は採択された(χ2(ν
=5)=2.57, p>0.7652)(上記ウエブ出力結果12の項参照)。このことは、交互作用
S*F に対応する F 統計量はゆがまないことを意味するので、この要因の交互作用の
検定は、自由度修正なしの通常の p 値を見る必要がある。
これらの結果から、このデータの場合3つの局所的球形仮説はすべて満たされてい
ることになり、2要因反復測定デザイン ANOVA の2つの主効果及び両者の交互作用
の有無の検定には、すべて自由度修正なしの通常の F 検定を行なえばよいことがわ
かる。
これらの結果を踏まえて、2要因反復測定デザイン ANOVA の検定結果を見たところ、
以下のような結果が得られた。まず、要因 S の主効果は有意な傾向があるといえる
(F(3, 24)=2.37, p=0.0959)。つぎに、要因 F の主効果は1パーセント水準で有意
である(F(1, 8)=14.11, p=0.0056)。最後の交互作用 S*F は、有意でない(F(3, 24)
=1.11, p=0.3660)。
glm/repeated for a repeated measure RBF-IJ design 184 General Linear Models Procedure Repeated Measures Analysis of Variance Analysis of Variance of Contrast Variables TREAT_.N represents the contrast between the nth level of TREAT_A and the 1st Contrast Variable: TREAT_.2 Source DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F MEAN 1 3249.00000000 3249.00000000 4.99 0.0561 Error 8 5214.00000000 651.75000000 Contrast Variable: TREAT_.3 Source DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F MEAN 1 13378.7777778 13378.7777778 5.52 0.0467 Error 8 19376.2222222 2422.0277778 Contrast Variable: TREAT_.4 Source DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F MEAN 1 3136.00000000 3136.00000000 1.42 0.2680 Error 8 17704.00000000 2213.00000000 |
この項では、(2-3) のプログラムの中の repeated 文の対比の種類指定により得られ
る要因 A についての対比検定結果を示す。要因 A については contrast(1) と指定
したので、要因 A の第1水準を基準にして、順に第1水準と第2水準の対比
(TREAT_.2 と表示)、第1水準と第3水準(TREAT_.3 と表示)、第1水準と第4水
準の対比(TREAT_.4 と表示)(この場合の対比はすべて対比較)の有無の検定結果
を示す。
上の結果からは、要因 A については TREAT_.2 が傾向程度、TREAT_.3 が5パーセ
ント水準で有意である、と言える。
ただし、1要因反復測定 RB-p デザインの出力結果のところでも指摘したように、
、SAS で反復測定要因の水準間対比
を検定する場合、独立測定要因の水準間の対比の場合と異なり、当該要因の誤差
分散の不偏推定値を個々の対比の分散の不偏推定値で置き換えてはいるが、
このやり方は、対比が事前的直交対比(この場合、対比が少なくとも相互に直交して
いることは明らか)と見なせる場合や、事前的非直交対比と見なせる場合には
よいが、対比が事後的(非計画的)な場合には、族あたりの危険率のコントロー
ルは十分とは言えない点に注意が必要である (Boik, 1981)。
TREAT_.N represents the contrast between the nth level of TREAT_B and the 1st Contrast Variable: TREAT_.2 Source DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F MEAN 1 45227.1111111 45227.1111111 14.11 0.0056 Error 8 25646.8888889 3205.8611111 |
この項では、要因 B の対比検定結果を示す。実は、この要因の対比検定は、要因の 水準数が2なので、意味がないことに注意されたい。すなわち、要因の主効果の検定 は水準数が2の場合、対比(対比較)検定と同等である。
TREAT_.N represents the contrast between the nth level of TREAT_A and the 1st TREAT_.N represents the contrast between the nth level of TREAT_B and the 1st Contrast Variable: TREAT_.2*TREAT_.2 Source DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F MEAN 1 186.77777778 186.77777778 0.27 0.6172 Error 8 5528.22222222 691.02777778 Contrast Variable: TREAT_.3*TREAT_.2 Source DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F MEAN 1 5.44444444 5.44444444 0.01 0.9370 Error 8 6541.55555556 817.69444444 Contrast Variable: TREAT_.4*TREAT_.2 Source DF Type III SS Mean Square F Value Pr > F MEAN 1 784.00000000 784.00000000 1.12 0.3203 Error 8 5588.00000000 698.50000000 |
この項は、repeated 文の対比の種類指定による要因 A×B の対比・対比交互作 用検定結果を示す。既に述べたように、このデータの場合全体的交互作用は有意では なかったので、その下位効果としての3つの対比・対比交互作用に関する上記検定 結果も予想通り有意ではないことがわかる。
この項では、anova 文による、(2-3) の項と GMANOVA に関しては同一の結果を得 るための3種類の出力結果を示す。プログラムは、上記の (2-4) の項から (2-6) の 項までで、順に2要因の全体的交互作用と3種類の対比・対比交互作用、要因 A の主 効果と3種類の対比、要因 B の主効果と1種類の対比(水準数が2なので、主効果と 同じ)に関する GMANOVA の結果を示す。(2-3) の項と GMANOVA に関しては同一である ので、ここでは省略する。
plot the means for each cell 200 Variable Label N Mean Std Dev ----------------------------------------------------------------- A1_B1 combination of A1 and B1 9 253.1111111 20.9430445 A2_B1 combination of A2 and B1 9 245.8888889 29.7045638 A3_B1 combination of A3 and B1 9 233.4444444 31.3333333 A4_B1 combination of A4 and B1 9 239.1111111 26.8907254 A1_B2 combination of A1 and B2 9 234.0000000 33.9005900 A2_B2 combination of A2 and B2 9 222.2222222 28.0703481 A3_B2 combination of A3 and B2 9 215.1111111 33.6059684 A4_B2 combination of A4 and B2 9 229.3333333 24.1816046 ----------------------------------------------------------------- plot the means for each cell 201 プロット : AVER*A. 使用するプロット文字 : B の値. AVER | | 260 + | | | 1 | 250 + | | 1 | | 240 + 1 | | | 2 1 | 230 + 2 | | | | 2 220 + | | 2 | | 210 + | ---+------------------+------------------+------------------+-- 1 2 3 4 A |
この項では、プログラム (2-7) の項での summary 及び plot プロシジャ等による 2要因の水準の組み合わせ8セルの平均値のプロット結果を示す。横軸が要因 A の水準を指す。また、図中の数字は要因 B の水準を示す。
この項は、プログラム (3-1) の項の chart プロシジャによるモデルの残差項の ヒストグラムを示す。ここでは、これは省略した。
この項は、univariate プロシジャによるモデルの残差項の正規性の検定結果を示す。 検定の結果、正規性は採択された。ここでは、これは省略した。
STATISTICA により、反復測定 RBF-pq デザイン ANOVA の実行を行うためには、まず Sta_win.exe アイコン(モジュールスイッチャー)から「分散分析/多変量分散分 析」をダブルクリックして選択するか、もしくは Sta_man.exe アイコンをダブルク リックして選択することにより、「分散分析/多変量分散分析」モジュールを起動する。 すると、データ入力のためのスプレッドシートウインドウと「分散分析/多変量分散 分析」ウインドウが現れる。そこで、以下のように順次必要事項をクリックしたり 入力するとよい:
フロッピーやハードディスクに既に存在する Statistica 用データファイルの 場合、メニュー欄から「ファイル」→ 「データを開く」と選択し、「データフ ァイルを開く」ウインドウを表示させる。そこで、必要な指示を行い既存データ をスプレッドシートウインドウに読み込ませる。
そのためには、「分散分析/多変量分散分析」ウインドウの上部にある「変数」 ボタンを一回クリックする。それにより現れる「独立変数、従属変数の選択;」ウイ ンドウで、従属変数のみそれらが表示されている窓で選択し、OK ボタンを押す。
そのためには、「分散分析/多変量分散分析」ウインドウの中程の「「経時測定 モデル」ボタンを一回クリックする。つぎにそれにより現れる「個体内経時測定 因子の指定」画面で、反復測定 RBF-pq デザインの変数名に対応する水準数と要因 名(仮に、それらの要因名を A、B としよう)を順次入力欄に入力し、OK ボタン を押す。このデータでは要因 A では水準数は4、要因 B では水準数は2である。
上の操作で、「個体内経時測定因子の指定」画面は消え、「分散分析/多変量 分散分析」ウインドウに戻るので、そこでの OK ボタンを1回押す。すると、 「分散分析/多変量分散分析」ウインドウが消え、新たに「分散分析の結果」ウイン ドウが表示される。
現れた「分散分析の結果」ウインドウの下部の「出力オプション」を一回クリック して選択する。
そこで、「出力オプション」ウインドウの下方の、上記2つの項の左端の小さな 矩形欄をマウスでそれぞれ一回クリックして選択し、OK キーを押す。すると、 この画面は消え、「分散分析の結果」ウインドウに戻る。
ここで注意すべきは、STATISTICA 日本版では Mauchly の sphericity test のことを、マーキュリーの球面性の検定、と訳している点である。ここでの マーキュリーは、筆者のこのホームページ の 2.1.1 節の最後にも書いたように、誤訳であり、 モクリーというのが正しい発音すなわち正しい訳である ので、注意 されたい。反復測定デザインの分析の素人がみると、モクリーの検定とは全く異 なる検定のように見えるであろうから。
すると、画面上に順次、要因 A についての「マーキュリーの球状検定」、 「Greenhouse-Geisser & Huynh-Feldt の ε」、及び「主効果 A:」なる結果 の出力画面が表示される。
ここで、最後の「主効果 A:」画面では、「継続 ...」なるボタンが表示 されるので、それを一回クリックする。すると、順に「調整済みの自由度での 1変量検定」、「主効果 A:」(ただし、ここでの主効果は、ANOVA 方式での A の主効果ではなく、MANOVA 方式、正確には GMANOVA の結果)、及び 「平均」の出力画面が表示される。
ここで、最後の「平均」の出力画面には、また「継続 ...」なるボタンが表示 されるので、それを一回クリックする。すると、画面は、「分散分析の結果」 画面に戻る。
以下、要因 B 及び交互作用 A×B についても同様な手順を繰り返す。ただし、 最後の交互作用の検定の場合には、「指定効果の検定」画面に書いてあるように、 要因 A 及び要因 B 共にマウスでクリックし選択する必要があるので、注意する こと。
うえの手続きを実行すると、以下のような出力結果が得られる。出力の結果の各 数値は、すべて SAS と一致していることがわかる。
注意すべきは、SAS の場合と同様標準的な Statistica でこの例のような反復 測定2要因デザインデータを ANOVA にかけても、その出力のみでは Statistica は 非加算的モデルによる分析しか行わない点であ る。
データが加算的モデルに適合しているかどうかは、SAS と同様 Statistica でも、 まず2要因の反復測定データを1要因につぶし、1要因の反復測定デザインデータ とみなして 大局的球形仮説の検討を行う必要があ る。以下の要因 A に関するモクリーの検定は、あくまでも 局所的球形仮説の検定に過ぎない:
STAT. マーキュリーの球状検定 (rbf4-2role.sta) GENERAL 主効果 : A MANOVA W カイ2乗 df p 球状検定 .438884 5.535892 5 .35405 |
ここでは、要因 A についてのモクリーの球形検定結果が以下のように出力される。 STATISTICA 日本版では、これを「マーキュリーの球状検定」と訳しているが、 「マーキュリー」は誤訳である。これらの値を SAS の要因 A に関する局所的球形 仮説の検定結果と比較すると、全く一致することがわかる。要因 A に関する 球形仮説は採択される。
STAT. Greenhouse/Geisser & Huynh/Feldt ε (rbf4-2role. sta) GENERAL 主効果 : A MANOVA ε Greenhouse-Geisser ε .661229 Huynh-Feldt ε .878345 下限 ε .333333 |
ここでは、要因 A に関する Box のε値の推定値を出力している。下限値は、要因の 水準数マイナス1の逆数であるので、当然 1/(4-1) = 1/3 すなわち .333333 となる。
STAT. 主効果 : A (rbf4-2role.sta) GENERAL 1-A, 2-B MANOVA 1変量 平均 検定 平方和 df 平方和 F p-値 効果 3345.83 3 1115.278 2.367283 .095949 誤差 11306.92 24 471.122 |
ここでの検定結果は、F-分布が歪まない場合の検定結果であることに注意したい。 2. の当該要因に関する球形仮説が採択されているので、このデータの場合には、原則 的には自由度を修正しないここでの検定結果を利用すべきである。
STAT. 調整済の自由度での1変量検定 (rbf4-2role.sta) GENERAL F = 2.367283 MANOVA 主効果 : A 1変量 Greenhs. Huynh 最小 検定 非調整 Geisser Feldt Bound ε .66123 .87834 .333333 df 1 3.00000 1.98369 2.63503 1.000000 df 2 24.00000 15.86950 21.08027 8.000000 p-値 .09595 .12627 .10587 .162463 |
ここでは、4. での自由度修正前の要因 A の主効果の検定に対して、Box のεにより 自由度修正を施した前後での F-検定における p-値を示している。Box のε値の修正 方法も、Greenhouse-Geisser のそれ、Huynh-Feldt のそれ、及びε値の理論的下限値 の3つを用意している。ここまでの表示(修正後の自由度も載せているという意味) は、SAS も SPSS も行っていない。
ただし、SAS や SPSS と同様、自由度を修正した F-検定を行うか行わないかは、 一方ではデータに依存するが、このように修正前と修正後の両方が表示されている と、どちらを選択すべきかはユーザが決めないといけないので、注意が必要である。 もちろん、このことを決めるには、通常 2. でのモクリーの球形検定の結果を検討 する必要がある(既に述べたように、このデータの場合、モクリーの球形検定結果 を使うとすれば、自由度の修正は不要である、という結論に達する)。
STAT. 主効果 : A (rbf4-2role.sta) GENERAL 1-A, 2-B MANOVA 検定 統計量 p-値 ウィルクスのλ .423058 ラオ R Form 2 ( 3, 6) 2.727488 .136619 Pillai-Bartlett トレース .576942 V (3,6) 2.727488 .136619 STAT. 平均 (rbf4-2role.sta) GENERAL ラオ R (3,6)=2.73; p<.1366 MANOVA |
ここでは、要因 A の一般(化)MANOVA (GMANOVA) による主効果の検定結果が 出力されている。SAS の出力と異なり、Statistica では4つの基準のうち Wilks のλ基準と Pillai (Pillai-Bartlett もしくは Bartlett-Pillai) の跡基準と それらによる近似検定がまず表示され、最終的には Wilks のλ基準の Rao によ る近似検定(R)(Rao, 1951) が表示されている。この場合、それらは全て一致する。
従属変数 A B Var.1 1 .... 243.5556 2 .... 234.0556 3 .... 224.2778 4 .... 234.2222 |
要因 B に関しては水準数が2なので、理論のところで述べたように、球形仮説は 自動的に満たされており、SAS と同様 Statistica でもモクリーの(局所的)球形検定 は行われないので、検定結果は出力されないことに注意せよ。
要因 B に関しては水準数が2なので、やはり球形仮説は自動的に満たされており、 その結果、Box のεの推定の必要もないので、出力されない。
STAT. 主効果 : B (rbf4-2role.sta) GENERAL 1-A, 2-B MANOVA 1変量 平均 検定 平方和 df 平方和 F p-値 効果 5653.389 1 5653.389 14.10763 .005576 誤差 3205.861 8 400.733 |
ここでは、要因 B についての ANOVA による主効果の検定結果を示す。要因 A の 場合と同様、Statistica ではまず自由度修正のない場合の F-検定結果を出力するが、 要因 B の水準数が2なので、F-分布の自由度は歪まない。そこで、要因 B の検定は この場合、ここのみを見ればよい。
要因 B に関しては水準数が2なので、やはり球形仮説は自動的に満たされており、 その結果、自由度修正は不要なので、SAS と同様 Statistica でもこれについての 修正後の ANOVA による p-値は出力されない点に注意せよ。
STAT. 平均 (rbf4-2role.sta) GENERAL F(1,8)=14.11; p<.0056 MANOVA |
ここでは、要因 B についての GMANOVA による出力結果を示す。この結果も SAS と 一致している。
従属変数 A B Var.1 .... 1 242.8889 .... 2 225.1667 |
STAT. マーキュリーの球状検定 (rbf4-2role.sta) GENERAL 交互作用 : 1 x 2 MANOVA W カイ2乗 df p 球状検定 .681824 2.574497 5 .765234 |
ここでは、要因 A と B についての(全体的)交互作用に関して、モクリーの(局 所的)球形検定を行った結果を示す。既に指摘したように、ここでも「モクリー」で はなく、「マーキュリー」と表示されているが、誤訳といえる。交互作用に関しては、 (局所的に)球形仮説が満たされていることが p-値からわかる。これについても 数値は全て SAS の結果と一致する。
上で交互作用 A×B に関するモクリーの検定結果は出力されるが、それが棄却された 場合には本来必要なA×B に関する Box のεの推定値が、 Statisitica では出力されない。このケースは、水準数が2の場合の要因 B の主効果の場合とは異なる。
この理由を最近筆者が米国 StatSoft 社に問い合わせたところ、 英語版 Version 5.5 以前あるいは現状の日本版 STATISTICA では対応がなされてい なかったが、最新の英語版 Version 5.5 では既に対応している(交互作用 項の Box のεの推定値も計算し出力している)という(平成11年7月31日)。 この日本語版は、数カ月後にはリリースされる予定とのことである。 ユーザは、この点にご注意いただきたい。
STAT. 交互作用 : 1 x 2 (rbf4-2role.sta) GENERAL 1-A, 2-B MANOVA 1変量 平均 検定 平方和 df 平方和 F p-値 効果 453.389 3 151.1296 1.106042 .366024 誤差 3279.361 24 136.6400 |
ここでは、要因 A と B の(全体的)交互作用を、分布の自由度を修正すること なしに行った結果を示す。うえの 14. の項で示されているように、交互作用に関する モクリーの球形検定は p-値から明らかなように採択されるので、原則としてはこの 場合自由度の修正は不要である。したがって、この場合は、ここでの検定結果を 見ればよいと言える。p-値から、交互作用は有意とは言えないことがわかる。これら の結果も、SAS と同一である。
要因 A の場合と同様の原則に従うならば、Statisitica では交互作用 A×B 効果についても、自由度修正後の ANOVA による p-値を出力す るべきであるが、なぜか Statistica ではこれについても出力されない。 もっとも、このデータに関しては 14. の項でモクリーの球形仮説は採択されている ので、実際には出力の必要はないのではあるが。
この理由についても最近米国 StatSoft 社に問い合わせたところ、 英語版 Version 5.5 以前あるいは現状の日本版 STATISTICA では対応がなされていなかったが、最新の英語版 Version 5.5 では既に対応している(自由度修正後の交互作用 A×B 効果につい ても、自由度修正後の ANOVA による p-値を出力している)という(平成11年7月 31日)。この日本語版は、数カ月後にはリリースされる予定とのことである。 ユーザは、この点にもご注意いただきたい。
STAT. 交互作用 : 1 x 2 (rbf4-2role.sta) GENERAL 1-A, 2-B MANOVA 検定 統計量 p-値 ウィルクスのλ .560812 ラオ R Form 2 ( 3, 6) 1.566258 .292466 Pillai-Bartlett トレース .439188 V (3,6) 1.566258 .292466 STAT. 平均 (rbf4-2role.sta) GENERAL ラオ R (3,6)=1.57; p<.2925 MANOVA |
ここでは、要因 A と B の交互作用についての GMANOVA による検定結果を示す。 この結果も、SAS によるそれらと一致している。
従属変数 A B Var.1 1 1 253.1111 1 2 234.0000 2 1 245.8889 2 2 222.2222 3 1 233.4444 3 2 215.1111 4 1 239.1111 4 2 229.3333 |
ここでは、要因 A と B の水準の各組み合わせにおけるデータの平均値が示されて いる。